若き至宝が戻ってくれば、押し出されるのは誰なのか――。レッドソックスが将来の中核と位置づけるロマン・アンソニー外野手(22)の残留方針は当然の判断だが、その本格復帰は吉田正尚外野手(33)の起用法を再び揺さぶりそうだ。
米メディア「ヘビー」は30日(日本時間31日)、8月3日(同4日)のトレード期限を前に、ボストンがアンソニーを実質的な「放出不可」として扱っていると報じた。ブレスロー編成本部長は同日、地元ラジオ局「WEEI」でアンソニーの名を挙げた質問を受け「今季だけでなく、今後3~5年で目標を達成しようと考えれば、トレードすることが不可能に思える選手がいる」と説明。具体的な獲得打診があったとは伝えられていないものの、他球団が問い合わせても簡単には商談の席につかない姿勢を鮮明にした。
アンソニーは5月4日(同5日)のタイガース戦でスイングした際に右手薬指付近の靱帯を損傷し、長期離脱中。それでも30日には、トレーシー監督代行が約2か月ぶりにバットを振り始めたと明かした。現在はフロリダ州フォートマイヤーズの球団施設でティー打撃などを行い、1度の練習で約30スイング。復帰時期は未定ながら、ようやく実戦復帰へ向けて目に見える一歩を踏み出した。
そこで無視できないのが吉田への影響だ。今季序盤、球団はアンソニーをDHで起用する場面を増やし、吉田は出場機会を十分に得られなかった。アンソニーが離脱すると吉田のDH起用が増え、30日のアスレチックス戦でも「5番・DH」で先発。今季は74試合で打率2割6分1厘、4本塁打、19打点と突出した数字ではないが、直近30試合では打率2割8分3厘、3本塁打、9打点と存在感を高め、低迷から一転してワイルドカード圏へ浮上したチームを支えている。
ただし、アンソニーは球団が今後3~5年の中核とみなす存在だ。健康を取り戻せば優先的に打席を与えられる可能性が高く、DH枠を主戦場とする吉田との共存は再び難題になる。外野にもデュラン、ラファエラ、アブレイユらがおり、守備を含めた選択肢の多さでも吉田は厳しい立場に置かれる。
吉田が2022年12月に結んだ5年総額9000万ドル(約147億6000万円)の大型契約は2027年まで。つまり来季が契約最終年となる。今夏の期限までに処遇が動かないことは確実にしても、アンソニーが今季中に戻り、来季へ向けて完全復活を遂げれば、吉田の出場機会やオフの去就論に直結しかねない。
若き至宝の残留と復帰はレッドソックスにとって朗報だが、奮闘を続ける吉田には新たな〝席取り合戦〟の号砲となりそうだ。













