大物スターの放出劇だけが、期限直前の主役ではない。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は28日(日本時間同日)、同サイト所属ライターでレッズとナショナルズでGMを務めたジム・ボウデン氏による「トレード期限直前のQ&A」を掲載した。今季の期限は米東部時間8月3日午後6時(日本時間4日午前7時)。各球団の駆け引きが最終局面を迎える中、異なる戦略で「買い」に動くレッドソックスとホワイトソックスが市場の台風の目となりそうな気配が漂う。
まずレッドソックスは、すでに25日(同26日)、ナショナルズとのトレードでコネリー・アーリー投手(24)を放出し、カーティス・ミード内野手(25)を獲得した。しかし、ボウデン氏の情報では補強はこれで終わりではない。球団はもう一人の打者を加えるために懸命に動いており、内野の要を担える選手を理想として、少なくともあと1件はトレードを成立させると同氏は予想している。
獲得候補として名前が挙がったのはC・J・エイブラムス内野手(25)、ザック・ネト内野手(25)、ジェレミー・ペーニャ内野手(28)。一方、メッツのフランシスコ・リンドア内野手(32)は大型契約と年齢が障壁となり、獲得には動いていないという。
ここで無関係ではいられないのが、レッドソックスの吉田正尚外野手(33)だ。補強の主眼は内野にあり、吉田の守備位置を直接埋める動きではない。それでも新たな主力打者が加われば、打線の組み替えや打順、相手投手に応じた起用法にも影響が及ぶ可能性がある。ポストシーズンを見据えた競争激化は、吉田にとって追い風にも逆風にもなり得る。
対照的なのがホワイトソックスだ。ボウデン氏は、自身が同球団を率いるなら、クリス・ゲッツGMが進めている方針と同じく、有望株を手放さずに投手陣と捕手を補強すると回答。「今年だけでなく、長期的な視点で考えつつ、同時に勝利も目指す」との考えを示した。
これは村上宗隆内野手(26)を擁する打線を大きくいじるより、投手陣と捕手の底上げでチーム全体の勝率を引き上げる構想といえる。将来を担う有望株を温存したまま、今季の勝負にも打って出る。派手な大物獲得とは異なっても、成功すれば目先の白星と中長期的な戦力整備を両立できる。
打者を重ねて攻撃力を引き上げようとするボストンと、将来の資産を温存しながら投手陣と捕手を整えようとするシカゴ。手法は違っても、期限直前に一段踏み込む姿勢は共通している。両球団の最後の一手は、吉田と村上の立場だけでなく、ア・リーグの勢力図まで揺さぶるかもしれない。












