セ首位の阪神は24日に甲子園球場で軽めの全体練習を行った。27日のリーグ戦再開を前に、藤川球児監督(44)も「みんな久々に自宅でゆっくり眠ることができた」とリラックスした表情で語った。

 屋外球場を本拠地とする阪神にとって、交流戦最大の敵は梅雨時の気まぐれな空模様だった。1試合でも雨天順延となればタイトな日程に過酷な移動も重なり、状況は厳しさを増す。聖地のグラウンド整備を預かる阪神園芸のボス・金沢健児施設部長も「いや、今年は本当に助かった。甲子園での試合日は雨の心配がほとんどなかったから」と胸をなで下ろした。

 金沢部長は数年前からX(旧ツイッター)に自身のアカウントを開設。黒土や芝に関するうんちくをつぶやくこともあるが、投稿の大半は天気に関するものばかりだ。人事を尽くすのはプロとして当然のこと。あとは〝天命〟である空とどう向き合うか…。そんな職人気質が投稿内容からもにじみ出ている。

 だが、雨予報で甲子園での開催が危ぶまれた5月下旬の巨人戦を前にポストされた内容はあまりにも難解だった。

「今日の試合の天気は、ヒクソン戦の高田延彦の心境ですかね。いや、ホイス戦の桜庭和志の心境で挑みます」(一部抜粋)。後日、球場内で金沢部長に「あの投稿、意味不明すぎました」と答え合わせを求めると「東スポでも分からんか~」とニヤリと笑い、こう解説した。

全格闘技ファンが注目した高田延彦-vs-ヒクソン・グレイシー(1997年10月11日)
全格闘技ファンが注目した高田延彦-vs-ヒクソン・グレイシー(1997年10月11日)

「ヒクソン高田のくだりは、『いけるかな…。やっぱりダメかな…』って弱気な気分のこと。ホイス桜庭は『今回はイケるで! 大丈夫や!』っていうポジティブな気持ちの意味やな」

 実はこのお方、新生UWFの黄金期とともに青春を駆け抜けた筋金入りの前田日明〝信者〟。「格闘技の最大の醍醐味は、入場シーンとあおり映像にこそある!」と断言するガチ勢だ。

 入場のベストシーンは、2000年2月の田村潔司 vs ヘンゾ・グレイシー戦とのこと。「Uのテーマが流れた瞬間、胸熱すぎてテレビの前で俺も叫んだ。今でも定期的に見返してるわ。あれは大河ドラマやったなあ」と目を輝かせる。

 ドロドロの愛憎劇で離散を繰り返しながら、格闘技界の未来を切り開いていったUの戦士たち。「選ばれし者の恍惚と不安」を胸に秘めながら、黒土を耕し芝と語らう〝Uの遺伝子〟は、甲子園のグラウンドにも息づいている。