DeNAが大接戦となった30日の中日戦(横浜)を2―1で制し、開幕カード勝ち越しを決めた。
先制ソロの梶原、1点差のピンチをしのいだ中継ぎの伊勢、プロ初セーブを挙げた入江と、脇役たちの活躍が目立った中で、一番のヒーローは3年目・松尾汐恩捕手(20)だった。
開幕3試合目で正捕手・山本に代わってスタメンマスクをかぶり、先発投手・平良をはじめ石田裕、伊勢らリリーフ陣を8回まで好リード。5回には値千金の2点目となったプロ初本塁打を左翼スタンドにかっ飛ばし、勝利に貢献した。
「ちょっと芯を外したかなと思ったんですけど、いい角度で飛んで風で入ったんじゃないかな。今までフェン直(フェンス直撃)が多かったんで、俺はホームラン打てへんのかと思ってたから、気持ちよくダイヤモンドを回れました」
それなのに、プロ初のホームランボールをもらえず「まだ(僕の手元に)ないんですよ」と言って報道陣を笑わせた松尾。今季初スタメンだったにもかかわらず、まるで緊張した様子を感じさせなかった。
「いや、緊張しましたよ。1勝1敗で勝ち越しもかかってたんで。でも、そこは勝たなきゃいけないって強い気持ちで臨みましたから。フィールドに立ったら落ち着いてできたんで、自分の力を出し切れたと思いますね」
プロ入り以来、松尾の教育係を務めている先輩・戸柱に「思い切ってグチャグチャをやったれ!」と励まされたことも随分利いたらしい。とはいえ、投手とのコミュニケーションは念入りに取っている。
「(先発の)平良さんとは先頭バッターをしっかり打ち取っていこう、一発のある打者の前に走者を出さないようにしようと話し合ったことが、しっかりできたと思います」
2―1で迎えた8回一死二、三塁で登板した伊勢には「汐音に任せたから」と言われた。オープン戦でバッテリーを組んでいたこともあり「思い切り自分の感性でやらせてもらった」そうだ。この時の大胆なリードには三浦監督もうなった。
「相手が4番からというところで、ヒットはもちろん、犠牲フライも打たれちゃいけない、後ろにもそらせられない。そういう場面でフォークを要求して、しっかりワンバウンドも止めてましたしね。あそこを守り切れたのは、汐音にとってもチームにとっても大きな財産になったんじゃないか」
まさに正捕手並みの技術と度胸のよさ。相川バッテリーコーチによれば「やはり去年の日本シリーズを経験したことが大きい。だからシーズンでへこたれることはないでしょう」という。
ただ、9回は番長がクローザーに抜てきした入江とともに、捕手も松尾から山本に交代。この時の表情を相川コーチは「いい顔してましたよ。すごく悔しそうな顔。これからも(プレーで)いいものを見せれば、最後まで使ってもらえるようになるかもしれない」とたたえた。
この先が楽しみなニューヒーローの誕生である。












