名門の沈没に、ついにオーナーの堪忍袋も限界に近づいている。米メディア「ヘビー」は15日(日本時間同日)までに、地元メディア「マスライブ」のショーン・マクアダム氏のリポートを引用し、レッドソックスのジョン・ヘンリー筆頭オーナー(76)が2026年シーズンの惨状に「非常に不満を抱いている」と伝えた。レッドソックスは同日現在、29勝40敗。ア・リーグ東地区首位から13・5ゲーム差をつけられ、リーグ全体でも勝率ワースト4位に沈むなど、昨季のプレーオフ進出チームとは思えない崩落ぶりを見せている。

 怒りの矛先は、チームを4度のワールドシリーズ制覇へ導いたはずのオーナーにも向かっている。レッドソックスを保有するフェンウェイ・スポーツ・グループの事業拡大に伴い、地元ファンの間では「球団への愛情が薄れたのではないか」との不満が噴出。ドジャース、メッツ、ヤンキースなど大都市球団に比べて補強費で後れを取っているとの批判も根強く、「球団を売れ」の声まで飛び交う異常事態となっている。

 ただ、ヘンリー氏が無関心というわけではなさそうだ。球団OBのデビッド・オルティス氏は5月末、同オーナーと話した上で「彼は心配している」と証言。ヘンリー氏と長い付き合いがある立場から、球団首脳陣が解決策を探っていることを明かし、世間が思う以上に現状を憂えているとの見方を示した。静かな〝怒り〟は水面下で膨らんでいる。

ブレスロー編成部長の手腕にも疑問の声が…(ロイター)
ブレスロー編成部長の手腕にも疑問の声が…(ロイター)

 フロント側も危機感を隠せない。サム・ケネディ社長兼CEOは地元ラジオ局「WEEI」で、直近2か月半を「恥ずべき、受け入れがたい」ものだったと断罪。「状況が劇的に変化しない限り、当初の計画から方向転換せざるを得ないかもしれない」と、米東部時間8月3日午後6時(日本時間4日午前7時)のトレード期限を前に売り手転換の可能性まで示唆した。

 その余波は、吉田正尚外野手(32)にも及びかねない。5年9000万ドル(約141億3000万円)の大型契約は2027年まで残るが、チームが若返りやコスト整理へかじを切れば、出場機会や立場がさらに揺らぐ可能性は否定できない。球団はクレイグ・ブレスロー編成部長の解任を否定しているものの、オーナーの監視が強まる中、低迷が続けば聖域なき再編に踏み切る展開も十分にある。名門復活どころか、ボストン全体を巻き込む粛清の風が吹き始めている。