【取材の裏側 現場ノート】オカダ・カズチカ(36)が米国・AEWと契約したことが6日(日本時間7日)に正式発表された。記者は2009年から新日本プロレスを担当している。12年1月に海外武者修行から凱旋帰国すると、一躍トップ選手となったレインメーカーは、長く取材をしているだけに特別な思い入れのある選手の一人だ。

 新日本時代の出来事で印象深いのが、17年7月のロサンゼルス大会だ。団体初となる米国単独興行で、IWGPヘビー級王者だったオカダはCоdy(現WWEのコーディ・ローデス)とのV7戦を控えていた。もちろん重要性は百も承知だったが、プロレス1大会のために海外出張というのは、昨今のスポーツ紙にはハードルが高い話。会社からも現地取材の許可は下りなかった。

 しかしここでオカダから「普段、日本で取材してくれる人にも米国の大会を見てもらわないと意味がないんです。僕が飛行機代を出すので、もう一度会社に聞いてみてくれませんか?」と想定外の申し出が…。当時のオカダは29歳。その若さでここまで団体とマスコミのことを深く考えているレスラーがいるのかと驚いた。

 結果的に厚意に甘える形で、現地取材が実現。大会後にホテルへ歩きながら取材していると、ストーンコールド・スティーブ・オースチン、ジム・ロス氏、ジョシュ・バーネットの3人とばったり遭遇し、4ショットの撮影に成功したのもいい思い出だ。オカダは20年に東スポが60周年を迎えた際、印象に残っている記事として「現地にいるからこそ撮れたショットなので」と、この写真を挙げてくれている。

 オカダが新日本を退団し米国に主戦場を移すと聞いた時、真っ先に思い浮かんだことがある。あの日の飛行機代へのお礼として、いつか会場へ自腹で応援に行こう。もっと大きくなったレインメーカーを、米国で見ることが個人的な夢なのだ。

(プロレス担当・岡本佑介)