【グレイシーハンターの〝真実〟 IQレスラー桜庭和志 実録 桜道(7)】約1年の練習生生活を経て、1993年8月13日のUWFインター日本武道館大会でデビューしました。相手はスティーブ・ネルソンという外国人選手。だけど、試合の記憶は、ほとんどありません(笑い)。
普通に動いたと思いますよ。変に膠着しないように動ければいいかなって感じで試合をして観客もそこそこ沸いたのは覚えてます。たまに「デビュー戦は緊張で動けなかった」とか聞くけど、僕には分からないんですよね。「あなたはどこを見てんの?」って話じゃないですか。リングに上がったら相手だけ見ていればいいんですよ。客と試合するわけじゃないんだから。気持ちは今までのレスリングの試合と変わらなかったです。
だから「プロとしての一歩目を踏み出したぞ」とか、そういう感慨みたいなものも全く何も思っていなかった。お客さんの前に出た。ただ、それだけ。仕事なんで。大体入門して1年もすれば「そろそろデビューするんだろうなあ」と心の準備もできていたし。宮戸優光さんからも「体重が90キロまでいったらデビューさせるから」って何か月か前に言われてたんで。
デビュー後、しばらくは外国人選手との試合ばかりが組まれていたんですけど、正直つまらないとも、なんとも思ってなかったですね。「仕事だから」って感じですよ。「辞めることはないな」って思ってました。
サソリ固めを使い始めたのはデビューして半年ほどたってからです。タックルに入って相手が倒れたら、そのまま僕の脚を(相手の脚の間に)入れれば、サソリ固めの形ができるんで。自然な流れだし「これは理にかなっていていいな」と思って使い始めたんです。
コスチュームをオレンジ色にしたのも、この頃です。最初は黒と赤を使っていたんですけど、垣原賢人さん(※)に「たまには違う色でやってみれば」って言われたことがきっかけでした。垣原さんはいろんな色のコスチュームを持っていて「とりあえず俺のを貸してあげるから」って。それがオレンジ色のコスチュームで着てみたら「全然、普通に似合ってんじゃん」と言われたから、それからはずっとオレンジ色でやってますね。
色ってテーマ曲と同じでお客さんにイメージをつけるためにも、同じものを使い続けた方がいいと思うんですよ。例えばブルーザー・ブロディといえば、あの曲(移民の歌)で、あのコスチュームじゃないですか。あの姿と曲そのものがドラマじゃないですか。だから僕はずっと同じ色で、同じテーマ曲でやってるんですよね。で、デビューから1年ほどたった頃についに…。
※90年に第2次UWFでデビューしたプロレスラー。「ミヤマ☆仮面」としても活動した。













