自信があるから、現役続行の意思は強い――。ソフトバンクの上林誠知外野手(28)が22日に球団から戦力外通告を正式に通達された。

 2017年に侍ジャパンにも選出され、18年には22本塁打をマークして飛躍を遂げたが、19年以降は故障の影響もあり低迷。昨年は右アキレス腱断裂の大ケガを負った。若手時代に師事した藤本前監督を胴上げすべく臨んだ10年目の今季は、56試合に出場して打率1割8分5厘、0本塁打。力強い復活をアピールすることができなかった。

 焦りもあったはずだ。アキレス腱を断裂したのは昨年5月。負傷前の状態に完全に戻すことはできなくても「シーズン後半には8割程度くらいは戻ってくるんじゃないかと思っていた」。だが、本人の感覚的には5割程度。踏み込む側の足のため、打撃への影響は小さくなかった。状態が上向かないジレンマもあったが、そもそも医学的には回復に2年程度は要するものだった。時間の経過とともに確実に回復は進み、シーズン終盤には手応えがあった。

 医学的根拠もあり、コンディション面の不安が解消されれば、再起への道は明るい。今年8月に28歳を迎えたばかり。環境の変化が打撃面の再覚醒を後押しする可能性は大いにある。

 日本球界でも屈指の強肩だ。18年には12球団トップの10補殺を記録。この年の日本シリーズで甲斐が6連続盗塁阻止で脚光を浴びたが、当時の達川光男ヘッドコーチは「MVPは上林。あの肩が広島の機動力を封じた。一番価値があるのは記録に残る数字よりも、抑止力。一、三塁の場面をつくらせず、ワンヒットで生還を許さなかった。相手の広島は(右翼手)上林の肩を一番恐れていた」と証言。守備センスとその強肩は今もさびついていない。

 非情通告を受けたが、トレーニングの準備を着々と進めている。ソフトバンクに限らず、野球ファンの温かい声援が力になっているはずだ。環境が変わることを前向きに捉えるメンタルも持ちあわせている。ただ、かねて低迷する中堅層の一人として「柳田さんが満身創痍で戦っている姿を見ていたら申し訳ない気持ちになる。一人に背負わせてしまった。世代的にも自分たちが引っ張らないといけない立場なのに」とも語っていた。3年連続V逸のチーム事情もあり責任を痛感し、恩返しがかなわなかったことを悔い続ける姿があった。

 球界内には「まだまだ勝負できる」という声は多い。本人もやり返す気力は十分だ。「恩返しの形」が他にもあることを理解している。なんとしても道を切り開くつもりだ。