危機感を募らせた最後の提言だった――。契約満了により今季限りで退任するソフトバンクの藤本博史監督(59)が17日、ペイペイドームで退任会見を行った。

 世代交代の過渡期に勝利と育成の両立を求められた指揮官。昨季はシーズン最終戦で首位から陥落し、今季は優勝したオリックスと15・5ゲームの大差をつけられてのV逸だった。「あれだけ補強してもらっているわけだから何とか優勝、日本一になりたかったが、それができなかったのは僕の責任」と潔かった。

 会見では悔し涙を浮かべるシーンもあったが、クローズアップすべきは常勝復活を切に願う男の提言だろう。「今年一年間やって、一番しんどかったことは左打者がズラっと並ぶことですよね。やっぱ右バッターが5番くらいに入るのが理想だった」。

 滞りない言葉に、明確な課題がにじんだ。「やっぱり左バッターが並ぶってのは、今年後半の成績を見たら分かると思うけど、出ても単打なんですよね。ウチの左バッターは左投手を苦にしないって言っても、長打があるのは柳田、近藤だけ。今だから明かすけど、CSで1番・柳田、2番・近藤も考えたんです。長打ってのがやっぱり魅力ですよね」。
 
 右打ちの5番打者を切望し、理想を言えば育てたかった。「アストゥディーヨとか、リチャードにも正木にも期待したけど、なかなかケガとかあってうまくハマらなかった」。最後まで埋まらず、来季に向けても懸案は埋まっていない。

 ゆえに、はっきりと進言した。「その左対左を苦にしないと言っても単打、単打ってそう続くものじゃないんでね。やっぱり右を入れないと。楽天でも左が7人並んでて、今年は阿部(寿樹内野手=昨オフ中日からトレード移籍)とか入ってバランスが良くなってきた。そういうのが来年以降は必要じゃないかなって思います。じゃないと、ウチにはいい左投手を当てられます」。ウイークポイントを明示した上で、補強の必要性と完遂を強く訴えた。

 現役時代を含めて30年、ホークスに身を置いてきた。当然、チームへの愛情は深い。未定ではあるが、今後はアドバイザー的役割で常勝再建のサポートが期待されている。