良くも悪くもMLBの名物だった審判員の引退報道に、米球界が何ともいえない雰囲気に包まれている。〝誤審王〟とも呼ばれたCBバックナー氏(63)が今季限りでキャリアに終止符を打つと報じられ、5日(日本時間6日)の米メディアでは誤審を下した印象的な試合や場面が相次いでプレーバックされた。
選手の引退となれば、活躍したシーンなどが主に報じられるが、バックナー氏の場合は違った。2003年と06年に米誌「スポーツ・イラストレイテッド」の選手間アンケートで「MLB最悪の審判員」に選ばれ、10年に行われたスポーツ専門局「ESPN」の調査でも同様のジャッジを下されたことなどが主だった。
そして今季から導入されたボールとストライクの自動判定システム「ABS」によって、バックナー氏の判定との〝誤差〟がいよいよ白日の下にさらされた。中でも3月28日(同29日)のレッズ―レッドソックス戦で露呈した「1試合6誤審」は、衝撃的なエピソードとして各媒体で扱われた。
米サイト「アルバット」もバックナー氏の〝誤審歴〟をたどった上で「ボールとストライクを間違える彼の才能は、特にABSが導入されて以降、批判の的となった」と伝えた。かつてはボールとストライクに関する判定は審判が絶対で、抗議した選手らが退場となることも少なくなく、ファンの間にモヤモヤ感が残ることもあった。しかし、現在では選手側から要求があればミリ単位で〝ロボット審判〟が判別するため、審判員は大観衆の前で「誤審」の断を下される立場となった。
同サイトは「彼の引退は度肝を抜くような誤審、際どいプレーを巡る白熱した議論の終焉を意味する」とし「ABSの導入により、昔ながらの審判員は厳しい目にさらされることになった。バックナー氏は最も影響を受けた一人で、彼の判定はリアルタイムで修正された。この技術革新はベテラン審判員の引退を加速させ、デジタル時代に対応できる次世代の審判員の台頭の促している」と転換期と位置づけた。
バックナー氏は4月1日(同2日)のブルワーズ、レイズ戦でファウルチップをマスク越しの顔面に受けて以降、グラウンドから遠ざかっている。米大手紙「ニューヨーク・ポスト」(電子版)は「バックナー氏は退職金を受け取って引退する」「30年の長きにわたるキャリアと同じくらい物議を醸してきた審判員生活が幕を閉じる」と審判としては破格の扱いで伝え「ABSがより大きな役割を果たすと予想される中、自らの意思で引退を決断した。選手やファン、関係者は安堵の息をつくことになるかもしれない」としている。












