第104全国高校野球選手権大会最終日は22日、甲子園球場で決勝が行われ、仙台育英(宮城)が下関国際(山口)を8―1で下して初優勝を遂げた。春夏通じて東北勢の甲子園初制覇となり、エンゼルス・大谷翔平投手(28)やロッテ・佐々木朗希投手(20)らの怪物を輩出した“みちのく野球”に新たな歴史が刻まれた。そんな舞台裏で改めて浮き彫りとなったのが酷暑対策。日本高校野球連盟(日本高野連)が検討している朝と夕の「2部制」開催は果たして可能なのか。 

 今大会は雨天順延もなく、3日間の休養日を設けて順調に日程を消化した。今回もコロナ対策と酷暑対策という2大懸念材料に向き合い、大会前から九州国際大付、九州学院、有田工、県岐阜商、浜田、帝京五に集団感染が判明。ガイドラインの改訂による日程変更と選手の入れ替えで対応し、いずれも試合を行うことができた。

 とはいえ、40度に迫る気温上昇は給水だけではどうにもならず、序盤から熱中症で足がつって担架で運ばれる選手が続出するなど、改めて危険性が浮き彫りになった。猛暑での夏開催についてはさまざまな意見がある中、日本高野連では7月の運営委員会で「将来的に朝と夕の2部制を含む新しい暑さ対策について検討を始める」と発表した。気温の上がる時間帯を避け、早い時間と遅い時間に振り分けて行うというものだ。

 アルプス席の保護者の一人は「異常な暑さですから2部制は大賛成です。足がつる選手も目立ったし、アルプスにいても危険性を感じます。プレーする方も見る方も涼しい時間帯にやるのが好ましい。可能なら早めにやってほしい」と噴き出る汗を拭いながらこの案を歓迎した。

 しかし、ある主催者関係者は「現実的には無理でしょう」と見ている。「日程的に1日4試合は絶対にやらないといけない。暑い時間を避けて例えば朝8時から2試合やって、夕方4時から2試合となると第4試合は夜の9時とか10時になる。終わる時間も分からないし、教育の一環とは言えなくなる。かといって朝の6時からやるわけにもいかないし、球場スタッフやお客さんのこともある」。実際、2018年の京都大会準々決勝は暑さを避けて第3試合の開始時間を遅らせたところ、第4試合終了が午後10時37分となるケースがあり生徒や保護者の帰宅が心配された。

 数時間の休憩時間を挟むことで観客の問題も出てくる。「その間、ずっと客席で待たせるわけにもいかない。前半後半で入れ替え制にせざるを得なくなる」とチケット販売方法にも関わり、テレビ中継も夜の時間帯に食い込めば番組編成上の問題にもなる。また、現場関係者からは第4試合が連日ナイターになることで「ナイター設備のある私学がますます有利になる」との声も聞かれている。

 甲子園にこだわり、安全に夏休み中に日程を消化する…。これがどんなに難しくなってきているか、主催者側も痛感しているはず。その場しのぎの対応だけでなく、抜本的な改革に踏み切ることができるのか。