第98回選抜高校野球大会決勝戦は31日に甲子園球場で行われ、大阪桐蔭が智弁学園(奈良)との関西対決を7―3で制し、センバツ最多の5度目、春夏通算10度目の優勝を果たした。主役は192センチの2年生左腕・川本晴大だ。6安打3失点、15奪三振の完投で頂点に導くと、同じく2年生で西武・中村剛也内野手(42)の息子、中村勇斗もスタメン起用に応えて初の適時打。ともに足のサイズは30センチ超。投打で存在感を放った〝ビッグフットブラザーズ〟が、新たな大阪桐蔭時代の象徴になりそうだ。

 単打と機動力を絡めた粘り強い〝ニュー桐蔭野球〟で、大阪桐蔭が4年ぶりに春の頂点へ返り咲いた。西谷浩一監督(56)は「とにかく10度目の優勝をしようと。生意気ですけど、毎日子供たちと話していた。何とか今日達成できて本当にうれしく思う」と感慨をにじませた。

大阪桐蔭・西谷浩一監督の話を平身低頭で聞く川本晴大投手
大阪桐蔭・西谷浩一監督の話を平身低頭で聞く川本晴大投手

 頂点到達の原動力となったのは、川本だ。最速148キロの直球と鋭いスライダーで智弁学園打線を押し込み、15三振を奪う圧巻の完投勝利。指揮官も「まだ下級生なのでやらないといけないことがたくさんありますが、今日はよく投げてくれたと思います。やはり杉本くんに勝ちたい、先輩たちと日本一になりたいと思って魂込めて投げてくれた」と、その力投をたたえた。

 川本本人は「下級生からこのような経験をさせていただきうれしい気持ちでいっぱいです」と控えめに振り返ったが、マウンド上での迫力は際立っていた。巨体から投げ込む剛球はもちろん、試合を支配する空気も堂々としていた。一方で、普段は穏やかな性格でチームのいじられ役というギャップも持つ。

 その川本と好相性なのが、同級生の中村だ。2回には先制打を放ち、初スタメンで結果を残した。2人は2021年の西武ライオンズ・ジュニアでともにプレーし、大阪桐蔭の寮で同部屋だった時期もある。中村は「あいつはふだんは食事に寝坊したりして抜けてる部分もあるけど、面白いやつ。試合では頼りになる。僕が初スタメンで緊張している時には〝俺が投手で打席に立たないからお前が打ってくれ〟と緊張をほぐしてくれた」と、信頼の深さを明かした。

 2人を語る上で外せないのが、その規格外のスケール感だ。足のサイズは中村が32センチ、川本が30センチでチームの1位、2位を占める。中村も「小さいころから体も足も大きかったです」と振り返る。文字通りの〝ビッグフットブラザーズ〟は、周囲の期待も大きい。3年生らは「川本はキャプテンシーというよりマウンドでみんなを引っ張るタイプと思うし、中村は気持ちが強くて中心選手になれると思う。今回いい経験をしたと思うし、もっと成長してほしい」と、さらなる飛躍に期待した。

 中村は「今回スタメンで出て、もっと試合に出たい気持ちが強くなった」と前を向く。今夏の成長はもちろん、上級生となる来年に向けても期待は膨らむばかりだ。15奪三振のジャンボ左腕と、〝おかわり遺伝子〟を受け継ぐ右の大器。大阪桐蔭の新たな黄金時代は、この2人の2年生から始まる。