ニューヨーク伝統の一戦が、名門の小さな失速を測る「リトマス紙」になる。ヤンキースは15日(日本時間16日)から敵地シティ・フィールドでメッツとのサブウェイシリーズに臨む。米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は「ヤンキースにとって、不調の1週間の中でサブウェイシリーズはさらに重要になる」と指摘。単なる同都市対決ではなく、ア・リーグ東地区首位の座をレイズに奪われたチームが、どこまで切迫感を示せるかの試金石と位置づけた。

 開幕からしばらくのヤンキースは、アーロン・ジャッジ外野手(34)を軸に強力打線で相手投手陣を押しつぶす勢いがあった。だがレンジャーズ戦でカード勝ち越しを決めた直後、本拠地でブルワーズに3連敗。続くオリオールズ戦も3連戦で2敗を喫し、13日(同14日)の敵地戦では0―7で完敗した。14日(同15日)現在で27勝17敗まで後退し、28勝14敗のレイズを2ゲーム差の2位で追う立場に変わった。

 だからこそ、18勝25敗でナ・リーグ東地区最下位に沈むメッツは、立て直しの格好の相手にも映る。もちろん油断できる相手ではない。メッツは直前のタイガース3連戦をスイープし、フアン・ソト外野手(27)らの打線も爆発力を秘める。第1戦ではヤンキースのキャム・シュリットラー投手(25)と、元ヤンキース守護神で今季は先発に転向したクレイ・ホームズ投手(33)の投げ合いも注目される。

 ON SIが強調したのは、ヤンキースの「本気度」だ。ブライアン・キャッシュマンGM(58)は常に28度目の世界一へ切迫感を持っていると語ってきたが、今季は起用にも変化が出ている。アンソニー・ボルピー内野手(25)を一時的に外し、ホセ・カバレロ内野手(29)を重用。さらにカルロス・ロドン投手(33)の復帰を待つ間、ルイス・ヒル投手(27)ではなく、伸びしろのあるエルマー・ロドリゲス投手(22)を試した点にも、従来より攻めた判断がにじむ。

 サブウェイシリーズの3連戦は順位表以上の熱を帯びる。球場の空気はポストシーズンに近く、勝てば士気は一気に戻る。逆に低迷メッツ相手に取りこぼせば、ブルージェイズ、レイズとの同地区連戦を前に疑問だけが膨らむ。アーロン・ブーン監督(53)のチームに必要なのは、弱った相手を確実にたたく強者の振る舞いだ。メッツは低迷しているからこそ、今のヤンキースの足元を照らす鏡になる。