勝ったから笑い話で済んだのか。それとも、勝ったからこそ誰も触れなかったのか。ドジャースのダルトン・ラッシング捕手(25)の〝奇行〟が、ベンチ内の微妙な空気まで浮き彫りにした。
14日(日本時間15日)にロサンゼルスのドジャー・スタジアムで行われたジャイアンツ戦に、ラッシングは「7番・捕手」で先発出場。だが、打席では3打数無安打3三振。2点リードの4回一死二塁では、ランデン・ループ投手(27)の低めのカーブに空振り三振を喫し、ベンチに戻るとバットを右太もも付近に叩きつけて真っ二つに折った。
これだけなら悔しさの爆発で済んだかもしれない。問題は6回だ。一死二、三塁の好機で再び空振り三振。ラッシングはベンチへ戻る途中、ヘルメットをかぶった自らの頭へバットを3度たたきつけた。さらに守備の準備中にも顔を覆い、叫び声を上げた。勝負どころで沈黙した怒りの矛先が、自分自身へ向かった格好だった。
米メディア「トータルプロスポーツ」は15日、X(旧ツイッター)上に投稿された動画を基に、この一連の場面を紹介した。焦点は、暴れた本人だけではない。ベンチ内にいたエメット・シーハン投手(26)、ジャスティン・ウォロブレスキー投手(25)、トミー・エドマン内野手(31)らが、その様子を背後から見つめ、互いに笑みを浮かべるような反応を見せていたという点だ。記事ではラッシングをさらに怒らせまいと、笑いをこらえていた様子まで伝えられている。
もちろん、ベンチが公然と問題視する状況にはならなかった。この日はシーハンが6回2安打2失点と粘り、ウィル・スミス捕手(31)の先頭打者本塁打、キム・ヘソン内野手(27)の適時打、6回のアレックス・コール外野手(31)の勝ち越し打などで5―2と勝利。4連戦を2勝2敗で終え、前日に続く白星でジャイアンツ相手の嫌な流れを止めた。勝利が、ラッシングの〝暴走〟をいったん覆い隠した形だ。
ただ、ドジャースは大谷翔平投手(31)が休養しながらも勝てる層の厚さを持つ一方で、ベンチの規律や空気も問われる常勝軍団である。情熱は若手捕手の魅力でもあるが、結果が伴わなければ紙一重で雑音になる。
主力たちが困惑しながらも見て見ぬふりを決め込むしかなかった光景は、黄金期の余裕と勝利の裏に潜む危うさを同時に映していた。












