黄金期を謳歌するドジャースの光が強いほど、かつての功労者が立つ場所とのコントラストは鮮烈になる。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は15日(日本時間同日)、メキシコ・ティファナで再起をかける元ドジャースのジャスティン・ターナー内野手(41)の現在地に迫った。

 ターナーは2014年にドジャースとマイナー契約を結び、同年から22年まで9シーズン在籍。1075試合で打率2割9分6厘、156本塁打、574打点、bWAR34・6を積み上げた。17年にはナ・リーグ優勝決定シリーズMVP、20年にはワールドシリーズ制覇に貢献。2度の球宴選出を誇る赤ひげの人気者は、黄金期の土台を作った象徴の一人だった。

 23年以降は5球団を渡り歩き、26年オフにカブスからFA。だが、メジャー30球団の反応は冷たかった。保証契約どころかマイナー契約、春季キャンプへの招待すら届かず自ら複数球団に電話をかけても「何も起こらなかった」。ターナーは同サイトに「正直、ショックだった」と告白し、「データシートに大きな重みが置かれている。でも僕の強みの一部は、データシートには載っていない」と胸中を明かした。

 それでもバットを置かない。現在はメキシカンリーグのティファナ・トロスでプレーし、15日現在で18試合に出場。打率3割3分3厘、3本塁打、10打点、出塁率4割4分6厘、長打率5割8分3厘、OPS1・029と結果を残している。チームストアで名前入りのユニホームが売られているのは、ターナーだけだ。マスコットには赤ひげまで付けられ、現地では「バルバ・ロハ」と呼ばれる。

 一方、古巣のドジャースは25年にワールドシリーズ連覇を果たし、今季も3連覇を視野に入れる王者だ。皮肉ながら昨季在籍したカブスも同日現在、ナ・リーグ中地区首位を快走している。特に9シーズンも籍を置いていたドジャースにフォーカスすればスターが集う巨大戦力の周辺で、かつての背番号10が国境の南で再起を期す構図は時代の残酷さも映す。

 だが、ターナーに悲壮感は薄い。「ユニホームを剥ぎ取られるまで続ける」と語り「他に何をすればいいんだ。バットを振る人の話をするより、自分が振る方がずっといい」と言い切る。

 メジャー通算1758試合、1617安打、201本塁打、832打点。十分すぎる実績を持ちながら、なお小さな球場で次の打席へ向かう。ドジャースが黄金時代を進むほど、ターナーの執念は逆照射される。これは落日の物語ではない。自分の終わり方だけは自分で決めようとする、ベテランの最後の抵抗である。