第98回選抜高校野球大会の第10日(29日、甲子園)で準決勝が行われ、第1試合で智弁学園(奈良)が中京大中京(愛知)に2―1と競り勝ち、10年ぶりの決勝進出を決めた。同点で迎えた8回に4番・逢坂(2年)が右翼線に勝ち越しの適時二塁打を放ち、エース左腕・杉本(3年)が7安打、1失点の力投を見せて打線の奮起を呼び込んだ。

 小坂将商監督(48)は「杉本は研究されて苦しい投球だったけど、変化球をコーナーに投げ分けてバッテリー中心に守り切れた。チームとして総合力が上がったと思う」と選手の成長に目を細めた。

 指揮官として一人ひとりに気を配り、選手を驚かせ、喜ばせてきた。傷んでいるグラブを目にすればすぐに新品をプレゼント。バットが折れれば、仕様を聞いた上で新たに調達してきた。しかも一度だけではなく、ナインは「僕らのことをちゃんと見てくれている証拠。とても感謝しています」と頭が上がらない。

 さらに、今大会中も〝プレゼント作戦〟が発動された。指揮官が「何か欲しいものはないか」と聞いたところ、選手たちが思案した結果「コメダに行きたい!」と主将を通じてリクエスト。休養日に宿舎近くの喫茶チェーン店「コメダ珈琲店」に複数班に分かれて繰り出し、カツサンドやホットドッグをパクついた。

 選手の一人によると「モノをねだると監督の手を煩わせることになるので、みんなで行けるお店をお願いしました。コメダめちゃおいしかったっす。僕らは寮なので普段食べることはできないですから。初めてのやつもいました」と楽しい時間を過ごしたそうだ。

 気になる支払いは「監督がどこからかやって来て払ってくれたっす」(同)。食事終わりを見計らってレジに現れ、精算して去って行ったという。

 残すは大阪桐蔭との決勝(31日)のみ。小坂監督の〝粋な計らい〟に応え、ナインが結束を強めている。