第98回選抜高校野球大会の第10日(29日)、準決勝第1試合で智弁学園(奈良)が中京大中京(愛知)に2―1と競り勝ち、10年ぶりの決勝進出を決めた。

 エース左腕・杉本(3年)の笑顔が弾けた。137球を投げて7安打、1失点で完投し「相手のいい投手に投げ勝ててうれしい気持ちでいっぱい。調子があまり上がってこない中でどう投げて行くかを考えていた。1点で抑えれたのがよかった」。

 中盤から尻上がりに調子を上げ、9回のピンチの場面では最速147キロを計測。「変化球も当てて対応してきていたので、ギアを上げて打者を押していこうと思った。1点を取られて意地というか、エースなんでもう失点できない、死んでも取られないという気持ちが前面に出たと思う。体力はある」と胸を張った。

 1点をめぐる投手戦。「ピッチャーが頑張っているから野手、もっと頑張ったれ」と小坂監督がゲキを飛ばし、杉本の力投が勝機を呼んだ。1―1で迎えた8回、ついに智弁学園が一歩前に出る。一死二塁から4番・逢坂(2年)が右翼線に勝ち越しの適時二塁打。空に向かって雄叫びをあげた逢坂は「1ヒットで帰れると思ったので低い打球を打ち返すことだけを考えた。ファウルかと思った。うれしくてガッツポーズをしようと思ったら上を向いていた。どんなポーズがかっこいいかな、と思った。打ててよかった」と白い歯をのぞかせた。

 花咲徳栄との準々決勝で0―8からのミラクル大逆転劇を演じ、この日はロースコアの粘り勝ち。小坂監督は「全員で冬にやってきたことを出し切るだけ。杉本は研究されて苦しい投球だったけど、バッテリー中心に守り切れた。変化球をコーナーに投げ分けれたのがよかった。角谷がよくリードしてくれた。チームとして総合力が上がったと思う」と選手を褒めた。決勝に向けては「5番目の相手としてやりたい」といつも通りの平常心で臨む。