第98回選抜高校野球大会第9日(27日、甲子園)の準々決勝第2試合で、智弁学園(奈良)が花咲徳栄(埼玉)を相手に8点差をひっくり返す大逆転劇を演じ、12―8で激勝した。
序盤は一方的だった。投手陣が立ち上がりから崩れ、2回までに8点を失う苦しい展開。それでも、3回から3試合連続登板となるエース・杉本真滉投手(3年)が4番手でマウンドに上がると空気が一変した。流れを引き戻した背番号1の力投に呼応するように打線も反撃。4回に逢坂悠誠内野手(2年)の適時打で2点差に詰め寄ると、5回2死一、三塁では志村叶大外野手(3年)が適時二塁打を放ち、一気に試合をひっくり返した。
9回まで無失点で投げ抜いた杉本は「野手を信じて投げた。自分の1球、投球で流れを変えてやろうと思った」と胸を張った。その粘りを支えるのが、ナインそれぞれの工夫を凝らした〝我流トレーニング〟だ。杉本は練習からドジャース・山本由伸投手(27)が取り入れるやり投げトレーニングを参考にし、体幹やフォームを確認。他の投手陣も自主トレでMLB選手の動きを取り入れているという。
ある投手は「みんなYouTube動画で、いいと思ったものをどんどん取り入れています。自分はやり投げは合わなかったのですぐやめましたが、佐々木朗希投手(ドジャース)の背筋を鍛えるトレーニングに取り組んでいます。山本投手のブリッジの動きをやっている選手もいます」と明かした。
もちろん、誰かに直接教わるわけではない。山本の名前とともに知られる「BCエクササイズ」も独特な動きが多く、見よう見まねだけでは限界がある。それでも選手は「人に教えてもらうのではなく、この動きにどんな意味があるのか、どこを鍛えるのかを自分で考えることが大事だと思う」と〝我流〟の意義を強調した。
8点差をのみ込んだミラクル勝利。その裏には、ただの根性論ではない、智弁学園ナインの〝ハイブリッドトレ〟があった。勢いに乗る名門が、10年ぶりの春制覇へ突き進む。












