第98回選抜高校野球大会第7日第1試合が25日に行われ、智弁学園(奈良)は神村学園(鹿児島)を延長10回タイブレークの末に2―1で下し、ベスト8進出を決めた。優勝候補を立て続けに退ける堂々の勝ち上がり。その原動力となっているのは、左腕エースの力投だけではない。ナインの背中を押しているのは、小坂将商監督(48)が送った〝熱血LINE〟だった。
試合をつくったのは先発した杉本真滉投手(3年)だ。神村学園の好投手・龍頭汰樹投手(3年)との息詰まる投げ合いの中、143球を投げ抜いて4安打1失点、6奪三振。1点リードで迎えた延長10回タイブレークは、二死二、三塁のピンチを背負いながらも、最後は2番・田中(3年)を左飛に打ち取り、雄たけびを上げながら拳を握った。2試合連続完投という数字以上に、土壇場で崩れない強さが際立った。
小坂監督も「本来の調子ではなかったと思いますが、バッテリーで修正しながら投げてくれた。選手たちが本当に粘り強く戦ってくれたおかげです」と目を細めた。万全ではない中でも試合を壊さず、要所で踏みとどまる。そのしぶとさこそ、今の智弁学園の真骨頂と言っていい。
1回戦で花巻東(岩手)、2回戦で神村学園と優勝候補を連破し、8強入り。そんなチームを内側から奮い立たせたのが、元日に小坂監督から届いた長文メッセージだった。新年のあいさつを送った41人の全部員に対し、それぞれ内容の異なる8行に及ぶメッセージを返信。ありきたりな一斉送信ではなく、選手一人ひとりの立場や役割を踏まえた言葉が並んでいたという。
ある選手は「責任感を持って、行動で引っ張っていってくれ」と背中を押され、「自分の役割を全うしてチームに貢献することが勝利につながると思った。野球に対する愛情だったり熱さを小坂監督から感じて、頑張ろうという気持ちになった」と振り返る。また、別の投手には「春の甲子園に行ったら杉本だけに頼らず、しっかり投げろよ」とゲキが飛んだという。杉本の快投を頼もしく見つめながらも「甲子園に来たからには投げたい」と闘志を燃やしていた。
エースの力だけで勝ち上がっているのではない。指揮官の言葉が浸透し、それぞれが自分の役割を理解して戦っているからこそ智弁学園は接戦で強い。2016年以来、10年ぶりの頂点へ――。小坂監督の熱いメッセージを追い風に、奈良の名門が春の聖地で快進撃を続けている。













