九州の巨漢砲が主役候補だ。第94回選抜高校野球大会第6日(24日、甲子園)の2回戦で九州国際大付(福岡)の4番・佐倉侠史朗内野手(2年)が3安打の固め打ち。チームも4―1で快勝し、11年ぶりの8強入りを決めた。広陵(広島)の4番・真鍋慧内野手(2年)とのスラッガー対決も注目された一戦。1安打の真鍋の前で、右に左に中堅に鋭いを当たりを広角に弾き返して存在感を放った。今大会「2005年世代」をけん引する花巻東(岩手)の佐々木麟太郎内野手(2年)も初戦で姿を消す中、聖地に「侠史朗の春」が漂い始めた。

 クラーク国際(北海道)との初戦ではサヨナラ犠飛を放ったが、4打数無安打2三振と不完全燃焼だった。「足の上げ方、タイミングの取り方が合っていなかったので修正した」と繊細な感性を持ち合わせる大砲は、見事な対応力で調子を上げてきた。

 昨秋の九州大会、神宮大会で好投手からアーチをかけて一躍、高校球界で全国区となった。2023年ドラフトに向けてプロのスカウトも注視する存在。魅力は何と言っても182センチ、106キロの恵まれた体から生み出されるパワーだ。父・佐倉薫彦さん(46)は巨漢砲のルーツとして「眠る能力と食べる能力がすごかった」と明かす。

「毎日早寝で9時間以上寝て、移動中もすぐ寝つく」。寝る子は育つの典型のような少年だった。食べる力も抜群の素質があった。薫彦さんはこんな逸話を披露してくれた。「小学校の担任の先生に感謝されたのは、ウチの子のおかげで給食の残食が常にゼロだったと。自分のクラスだけじゃなく、隣のクラスも助かっていたそうで…」。学校全体として給食の「残食ゼロ活動」に取り組む中で侠史朗少年はヒーローだった。地球にも優しいご利益いっぱいの活動を通して、同時に立派な体も手に入れていた。

「男らしく育ってほしくて『侠気』から取った」(薫彦さん)というのが名前の由来。劣勢の展開や勝負どころになればなるほど腕が鳴る巨漢砲は、初めての甲子園でスターの階段を駆け上がっている。