春の東都が、いよいよ佳境に入ってきた。全国屈指の激戦区で昨秋まで6季連続優勝を果たした青山学院大は今季も、東都リーグ史上初の7季連続Vの狙える位置に踏みとどまっている。11日現在、4節を終えて10試合7勝3敗、勝ち点3。首位・国学院大を勝ち点1差で追う2位につけ、部員48人の少数精鋭とレギュラーにも安住を許さない定位置争いが、王者の底力を支えている。

 青学大は7日の東洋大3回戦(神宮)に10―1で大勝し、対戦成績を2勝1敗として勝ち点を3に伸ばした。首位を走る国学院大は12試合8勝4敗の勝ち点4。青学大は19日からの直接対決で勝ち点を奪えば、逆転で7季連続優勝に届く可能性を残している。

 名門の看板をさらに重くしているのが、近年の圧倒的な人材輩出力だ。2023年ドラフトでは常広羽也斗投手(24=広島)、下村海翔投手(24=阪神)が1位指名を受け、24年は西川史礁外野手(23=ロッテ)、佐々木泰内野手(23=広島)が続いた。さらに昨秋も中西聖輝投手(22=中日)、小田康一郎内野手(22=DeNA)が1位でプロ入り。3年連続で2人のドラフト1位を送り出した実績は、大学球界でも異彩を放つ。

 今秋のドラフトでも、渡部海捕手(21=4年)と鈴木泰成投手(21=4年)が上位候補として熱視線を集める。7日の東洋大戦では鈴木が8回2/3を3安打1失点、10奪三振の快投を見せ、渡部は9回二死から今季1号の満塁本塁打。投打の柱が崖っぷちの一戦で結果を出し、王者の命脈をつないだ。

 ただ、青学大の強さは一部のスターだけで成り立っているわけではない。今春の開幕カードとなった4月7、8日の亜大戦(神宮)では、新井瑛太外野手(18=1年)や菅野陽平内野手(18=1年)ら下級生を積極起用。野手の先発5人を2年生以下で固めながら、上級生中心の亜大に連勝した。リーグ6連覇に貢献してきた星子天真内野手(21=4年)、南野倫平外野手(21=4年)ら実績組であっても、定位置は保証されない。

 ネット裏のNPBスカウトも「他の大学にはないレベル」と舌を巻く。大学野球は最長4年で主力が入れ替わるが、青学大ではその循環が停滞ではなく競争を生む。入学直後の1年生が台頭し、上級生が押し戻そうとする。その緊張感が、チーム全体の基準を押し上げている。

 同校OBの広島・佐々木も、当時をこう振り返る。「自分の時も3年までの正捕手が1年生に先発を奪われたり、実際に競争は厳しかった。練習がキツいというより、みんな人の見ていないところで個人練習をするのが当たり前でした」。厳しさは強制ではなく、空気として根付いている。

 高校球界から見たブランド力も増している。NPBスカウトは「志望届を出せばプロから指名されそうな高校生が、まず大学で力を試したいと青学を選ぶケースは多い。最近は東京六大学でも早慶を除けば、青学の人気はかなり高い」と明かす。才能が集まり、競争が磨き、勝利がさらに人を呼ぶ。首位追走の今春も、青学大の黄金時代が簡単には終わらないことを示している。