左腕が出てくるたびに、G打線の歯車が鈍る。巨人は10日現在、36試合を消化して18勝18敗の勝率5割。セ・リーグ3位につけ、首位・ヤクルトとは4・5ゲーム差としている。開幕から打線を固定せず、選手の状態を見極めながら日替わりに近いオーダーを組んできた阿部慎之助監督(47)だが、ここへきて浮上しているのが深刻な〝左腕アレルギー〟だ。

 数字は、はっきりしている。相手先発が右投手の試合では13勝7敗と勝ち越している一方、左投手が先発した試合は5勝11敗と大きく負け越し。阿部監督も10日に「左投手はなかなか打ち崩せてないんで、なんとか対策を練って臨みたい」と苦しい胸中を明かした。

 チーム内からも危機感は漏れる。関係者の1人は「ちょっと重症だね。今年の打線を見ても、左投手へのアプローチがうまい打者はいない」と嘆く。その中で、数少ない打開役として名前を挙げるのが泉口友汰内野手(26)だ。

 泉口は今季、開幕スタメンに名を連ね、序盤から存在感を示してきた。だが、4月21日の試合前練習で顔面に打球が直撃。病院で「脳しんとう、顔面打撲、口腔内裂創」と診断され、戦列を離れた。4日に一軍復帰を果たすと、同日のヤクルト戦(東京ドーム)で「3番」で即スタメン。チームにとっても待望の帰還だった。

 何より左投手への対応力が光る。対右投手の打率2割2分に対し、対左投手は2割7分5厘。前出の関係者も「左投手特有の内側に入ってくる球を気にせず、うまくはじき返せているのは泉口だけ」と背番号35に期待を寄せる。

 ただし、起用法は簡単ではない。阿部監督は10日、泉口について「調子を戻さない限り(スタメンでは)出しません」と明言。今後は、途中出場が中心となる可能性もある。左腕対策の切り札に見える男を、すぐ先発に戻せないところに現在のG打線の悩ましさがにじむ。

 12日の広島戦(岐阜)で相手先発が見込まれるのは、今季すでに巨人から1勝を挙げている左腕の床田寛樹投手(31)。同じ相手にまた沈むのか、それとも〝左腕の壁〟を打ち破るのか。5割から抜け出せない阿部巨人にとって、岐阜の一戦は単なる1試合では終わらない。