九州の大砲が初めての聖地でスター性を感じさせた。第94回選抜高校野球大会(甲子園)第1日の19日、優勝候補の九州国際大付(福岡)が延長10回の末、3―2のサヨナラ勝ちで初戦を突破。昨秋の明治神宮大会でも対戦したクラーク記念国際(北海道)と熱戦を演じ、最後は今大会注目の大型スラッガー・佐倉侠史朗内野手(2年)が左犠飛を放って試合を決めた。
西武でヘッドコーチの経験もある楠城徹監督(71)の「勝負眼」が最後に光った。10回一死から2番・中上(3年)が左前打で出塁。続く3番・小田原(3年)にベンチから送られたサインはランエンドヒット。小田原は追い込まれてからの4球目をおっつけて広く空いた一、二塁間を破る右前打で好機を広げた。
「小田原は自由に打たすと振りが大きかった。軽打、逆方向に打つのがうまのでサインを出した」という指揮官は「最悪(小田原が)セカンドゴロでも(二死二塁となって)佐倉がサヨナラヒットを打ってくれるイメージだった」。現実では一死一、三塁から絶対的4番が初球を左翼に打ち上げ、勝利打点を挙げた。
楠城監督は佐倉への信頼をこう明かす。「そういう(チャンスの)場面で巡ってくる巡り合わせみたいなものが(佐倉には)ある。最後は何とかしてくれるんじゃないかと思って見ていた」。前の打席まで4打数無安打2三振だった佐倉は「最後は自分が決める気持ちだった。どういう形であれ、サヨナラにできてよかった」と胸をなで下ろしたが、きっちりヒーローになり切るあたりは経験豊富な指揮官の見立て通りだった。
昨秋時点で身長183センチ、体重106キロ。九州大会や明治神宮大会でアーチを連発して一躍「全国区」となった。注目されるがゆえの力みから「バットが下から出る」(楠城監督)兆候が改善されず快音は響かせられなかったが、まだ初戦だ。
佐倉は「上からバットを出したり、肩が開かないように」と結果を欲しがるゆえの原因を理解した上で、必死に修正をかけている。楠城監督も「あとは気持ちのコントロール」と言い切り、勝負強い打撃に変わらぬ信頼を寄せる。
4回から一人の走者も出さず完投したエース香西(2年)は最後にこう言った。「いつも点を取ってもらっているので、ロースコアの試合は自分がしっかり踏ん張る。最後は佐倉がよく決めてくれた」。次は主砲・佐倉が大暴れする番だ。












