原巨人はトレード補強に打って出るのか。20日時点で貯金4のリーグ2位ながら、首位・ヤクルトとは9ゲームもの大差。今季は「若手育成」の一大方針を掲げて貯金生活を維持してきたものの、ここへきて失速ぎみだ。昨オフの補強ではFAを凍結し、ドラフトと新外国人選手だけにとどめたが、期限がおよそ1か月後に迫るトレードに対するスタンスは――。


 このままでは終われない。リーグ戦再開後の中日戦(バンテリン)に1勝2敗で負け越し、5月の11勝14敗に続いて今月も6勝8敗と黒星が先行する。21日から本拠地・東京ドームで迎撃するDeNA戦を前に、原辰徳監督(63)は「ふがいない試合が多い。いずれにしても、少し立て直すというのは必要でしょうね」と身を乗り出した。

 今季は球団も現場も例年以上に若手の育成と底上げに力を入れてきた。昨オフのフロントは「若手の成長にフタをしない」と補強は助っ人とドラフトにとどめ、FAは9年ぶりに見送り。指揮を執る原監督も「五分と五分の力ならば、実績のない若い選手を使う」と号令をかけ、ドラ1守護神の大勢や増田陸ら若手の起用を続けている。実力が未知数だっただけに、指揮官もある程度の苦戦は想定内。ただ、なかなか波に乗れない現状に「辛抱、辛抱」と自らにも言い聞かせつつ「でも、辛抱が多いな」とポツリだった。

 昨季は機能不全に陥った新助っ人たちもまずまずの活躍。コマはそろえたはずだが、ヤクルトに独走を許している現実もある。すると、新たな選択肢として浮上するのがトレードだ。若手が芽吹きやすい土壌を重視し、補強に制限をかけた球団はどういうスタンスなのか?

 背広組の一人は「トレードと言っても2種類ある。一つは補強のためのトレード。もうひとつは、2年前の澤村(現レッドソックス)の時のような選手を生かすためのトレード。ウチでは難しくても他のチームならば…というトレードはやれたらいいと思う」と明かす。数年前から取り組む〝脱・飼い殺しトレード〟は継続したい考えで、別の球団関係者は「5月下旬くらいからリストアップしている」という。即戦力となる実績ある選手を獲得するトレードよりも積極的だった。

 しかし、優勝が至上命令の巨人では、指をくわえたまま見ているわけにもいかない。現場トップで編成権も持つ原監督からは「左のセットアップがもう1人欲しいよな。彼ら(高梨と今村)しかいない」などと具体的な〝要望〟も出始めている。二、三軍からアピールが足りないと判断された場合は、トレードによる緊急補強にかじを切ることになるのか…。補強期限は7月31日までで、今後も目が離せなくなりそうだ。