ジャパニーズ・モンスターに米本土が揺れ動いている。ホワイトソックスの村上宗隆内野手(26)が22日(日本時間23日)の敵地ダイヤモンドバックス戦で5試合連続となる10号2ランを放った。球団記録タイ、日本選手タイ、新人最長タイと記録ずくめの一撃はMLB新人王だけでなく、史上初となる夢の日米トリプルクラウン達成、今夏の争奪戦まで呼び込もうとしている

 敵地ながらチェース・フィールドの「主役」は、またしても村上だった。この日のダイヤモンドバックス戦で7回に右腕トンプソンから中堅右へ運んだ451フィート(約137メートル)弾によって、ホワイトソックスの球団記録に並ぶ5試合連続本塁打を達成。日本生まれの選手では大谷翔平投手(31=ドジャース)以来2人目、さらにMLB新人の最長記録にも肩を並べ、24試合で10本塁打到達は球団史上最速となった。

 ただし、話題は「また打った」だけで終わらない。ホワイトソックスは23日(同24日)現在、ア・リーグ中地区4位。再建途上のクラブが、2年総額3400万ドル(約54億3000万円)で獲得した左の大砲が、夏の市場を揺らす火薬庫になりつつある。実際に複数の米主要メディアも報じ始めているように早くもメジャー関係者の間では、トレードデッドラインの米東部時間8月3日午後6時(同4日午前7時)までに、レッドソックス、ヤンキースのア・リーグ東地区勢に加え、タイガース、ブレーブスなどが若手有望株を交換要員に獲得へ動く可能性があるとの見方も出ている。

 確かに村上の契約内容は、現在の打棒の勢いと照らし合わせれば破格の安値だ。MLB移籍時には市場予想を大きく下回る条件とも受け止められたが、その“格安さ”が今は最大の魅力になっている。短期決戦を狙う球団にとって長打力を一気に上積みできるうえ、契約の重さも比較的軽い。売り手に回るならホワイトソックスは有望株を引き出しやすく、このまま残留させるにしても再建の象徴になる。だからこそチーム内外の視線は熱い。

 その熱狂を映したのが、22日放送の米スポーツ専門局ESPN「Sports Center」だ。同番組では村上について有力な新人王候補としての存在感に加え、アンカー陣の間で「まさかのトリプルクラウン(3冠王)もあるのでは」との期待値まで話題化したという。村上はヤクルト時代の2022年に3冠王を獲得しており、再びその領域へ踏み込めば、日米をまたいだ前例級の勲章になる。MLBで最後に3冠王を達成したのは、12年のミゲル・カブレラ(タイガース)だ。
 しかも数字は、単なる勢いでは片付けにくい。22日時点の直近5試合では21打数8安打、打率3割8分1厘、4本塁打、8打点。高めの速球やMLB特有のムービングファストボールなど“動く球”への対応を不安視されていたものの数字が証明しつつあるように、ここへきて明らかにメジャーの配球へアジャスト(順応)し始めている。打率部門ではまだ突出していなくても、この爆発力が続くならトリプルクラウンが夢物語と切り捨てられない――。そんな声がMLB内で出始めるのも、決して大げさではないだろう。
 記録を作った連弾は、終着点ではない。弱いチームに眠る格安砲で終わるのか。それとも夏の市場を動かし、さらにポストシーズン進出を狙う強豪球団でチームと個人のタイトル争いまで巻き込む主役になるのか。村上の打棒爆発はホワイトソックスのみにとどまらず、メジャー全体への号砲に見えてくる。

【6戦連発ならず】23日(日本時間24日)のダイヤモンドバックス戦「2番・一塁」で先発出場した村上は3回の第2打席で先制点につながる右前打で出塁。5打数1安打で6試合連続安打としたが、日本選手&球団&新人の新記録がかかった6戦連発はならなかった。それでも、4回の守備では一、二塁間を抜けそうな強烈なゴロを逆シングルでダイビングキャッチ。アウトにして投手陣を助け、4―1の勝利に貢献した。