阪神・高山俊外野手(26)が“原点回帰”の1番打者復帰へ向け大きく前進した。

 昨季の盗塁王・近本を今季は2番打者として起用する意向を明かした矢野監督にとって、近本と“核弾頭コンビ”を組ませる新たな1番打者の選定作業は重要な課題の一つ。木浪、北條、糸井らが候補として名を連ねていたが、そんな状況に待ったをかけたのが2016年に1番打者として球団新人最多安打記録(当時)となる136安打をマークし、新人王に輝いた高山だ。

 4日の春季一軍キャンプ(沖縄・宜野座)で行われたシート打撃に出場し、第1打席で藤浪の投じた151キロの直球を左中間へ力強くはじき返し二塁打。続く第2打席でも2ストライクまで追い込まれながら粘りを見せ、10球目の変化球をしぶとく左前へ運ぶ技ありの一打を披露。「(自分は)結果を出し続けなければならない立場。いい打撃ができましたが、明日以降もその日の100点を更新していきたい」と力強い表情で振り返ったが、打撃成績以上に試合に臨む積極的な姿勢も際立っていた。

 筒井外野守備走塁コーチは「2つの走塁もそうだけど(第1打席で)二塁打を放った際に、隙あらば三塁も狙う姿勢も見せてくれた。それがうれしかった」と走塁面の意識の良化に目を細める。新井打撃コーチも「俊は(昨秋の)安芸キャンプでも『来季は俺、絶対やりますから』と言っていた。彼は今、本当にやる気に満ちあふれている。打撃の再現性も高まってきたのでこれなら(シーズン中に)一時的に不調に陥っても、すぐに復調できる」と絶賛した上で「当然今季の1番打者として有力な候補の一人です」とキッパリ言い切った。

 課題だった守備難も劇的に改善した上に、昨季は自己最高の9盗塁をマーク。さらに規定打席未到達ながら出塁率もルーキーイヤー(3割1分6厘)を上回る3割3分6厘と打席での確実性も高まった。走攻守全てにおいて隙のない成長を見せる背番号9のリードオフマン復帰へ向け、今から目が離せない。