「最悪のシナリオ」は回避できるのか――。今オフに迫るMLBのロックアウト危機を巡り、球界の酸いも甘いも知る〝A・ロッド〟がファンに一筋の光を差し込ませた。
米メディア「ヤードバーカー」は3日(日本時間4日)、2027年シーズンへの影響が懸念される労使交渉について、元マリナーズ、レンジャーズ、ヤンキースのアレックス・ロドリゲス氏(51)の見解を紹介した。「A・ロッド」の異名を持つロドリゲス氏は現役引退後、米スポーツ専門局「ESPN」の中継でも解説者として親しまれ、現在はFOXスポーツのMLBアナリストを務めている。
現行の労使協定(CBA)は12月1日(同2日)に失効する。オーナー側は戦力均衡を目的とした厳格なサラリーキャップ導入を求めているとされる一方、選手会側は給与総額に上限を設ける制度に長年反対。今冬の交渉決裂からロックアウトに突入し、来季の開幕、最悪の場合はシーズンそのものが揺らぐとの懸念まで広がっている。
そんな緊迫ムードの中、ロドリゲス氏は最近出演したポッドキャスト番組「トレイナ・ソーツ・ポッドキャスト」で、27年開幕までに新協定へ合意できるかを問われ「可能性はあると思う」と回答。「試合が中止になるようなことは起きないでほしい」とも語った。悲観論一色の球界にあって、百戦錬磨のレジェンドOBから飛び出した〝まだ間に合う〟とのメッセージは、ファンにとって救いになりそうだ。
ただし、楽観一辺倒ではない。「双方の何十人もの人と話をしたが、メジャーの野球界に35年間身を置いてきた中で、これほど双方が頑固に構えているのは見たことがない」とも明かした。交渉の溝が深いことを肌で感じているからこそ「可能性はある」という言葉にも重みが宿る。
ロドリゲス氏は19歳だった1994年8月12日(同3日)、選手会のストライキが始まった日を鮮明に覚えているという。この争議ではポストシーズンとワールドシリーズが中止となった。当時と違い、現在はNetflix、YouTube、Prime Video、Apple TVなど娯楽の選択肢があふれる。「今は視聴者の注目を奪い合う競争が激しい。試合を失う余裕はない」と訴え、労使双方に〝とも倒れ〟を避ける決着を求めた。
ロブ・マンフレッド・コミッショナーも8月23日(同24日)のリトルリーグ・クラシック中継で「来年も野球をする予定だ」と強調しているが、楽観を許さない火種は残る。それでもA・ロッドが示したのは、全面衝突が既定路線ではないということだ。
スターたちがグラウンドに立つ27年を守れるか。最後に試されるのは札束でも強硬論でもなく、労使双方の〝引き際〟なのかもしれない。












