最強軍団の敵は、ライバル球団ではなく「制度」になるかもしれない。米スポーツ専門局「ESPN」電子版は2日(現地時間)、今オフの労使協定(CBA)失効を前に、20人以上の現役メジャーリーガーへ匿名で行った労使交渉に関するアンケートを公開した。

 サラリーキャップ導入をめぐっては「ゼロ。あり得ない」「絶対にない」と強硬な反対論が目立った一方、決して一枚岩ではない実情も浮かび上がった。ア・リーグ球団のある捕手は「もっと情報が必要だが、話を聞くかもしれない」と回答。さらに「サラリーキャップによって個々の選手の収入が増えると証明されたら受け入れるか」との問いには、ナ・リーグの年俸調停前の某選手が「おそらくそうする」と答えた。選手会が長年掲げてきた「キャップ断固反対」の大原則の内側に、条件次第では耳を傾ける層が存在するということだ。

 しかも、この問題は球場の外だけで燃えているわけではない。あるナ・リーグ球団の投手は、ダッグアウトや移動中の飛行機、クラブハウスで「1日1回くらい」話題になると証言。若いチームの選手は目先の1回のCBA交渉を意識する一方、ベテランは2回、3回先まで見据えているとの声も出た。別のナ・リーグ投手は2027年のシーズンについて「6月まで試合は行われないと思う」と予測しており、世代や立場による〝温度差〟と同時に、危機感の深さもうかがえる。

 現行のCBAは12月1日(同2日)に失効する。MLB側は5月28日(同29日)、2027年に総年俸上限2億4530万ドル(約392億円)、下限1億7120万ドル(約274億円)とする案を提示した。これに対し、ドジャースの今季開幕時のぜいたく税計算上の総年俸は4億1520万ドル(約664億円)。単純比較でも上限案を約1億7000万ドル(約272億円)上回る。

 もっとも既存契約は保証され、MLB側は上限へ段階的に移行する案も協議するとしているため、導入即「解体」となる話ではない。それでも、ぜいたく税を払いながらスターを積み増すことで24、25年と世界一を重ね、3連覇を狙うドジャースにとってハードな上限が設けられれば、補強の自由度は確実に狭まる。

 一方で、育成、スカウティング、分析、施設など〝金の使い方〟そのものまで封じる制度ではない。だからこそ次の「ドジャース王朝」を左右するのは札束の厚さではなく、天井ができた後にどれだけ賢く勝てるか。球界最大の金満軍団は今、グラウンド外から迫る「見えない天井」との戦いも強いられようとしている。