金満球団にとって、最大の敵はグラウンドの外から現れるかもしれない。米メディア「SB NATION」運営のドジャース専門サイト「トゥルー・ブルー・LA」は31日(現地時間)、12月1日に失効するMLBの労使協定(CBA)を巡り、球団側が選手会に示した最新案を詳報した。期限切れと同時にオーナー側がロックアウトに踏み切る可能性は高く、2027年シーズンへ暗雲が漂っている。

 最大の火種はサラリーキャップだ。MLB側は27年に上限2億4530万ドル(約392億円)、下限1億7120万ドル(約273億円)を設ける案を提示。これに加え、FA契約をウインターミーティング開始から12月21日までに集中させ、その後は2月第1月曜日まで移籍を凍結する新日程や、負傷者リスト(IL)、26人枠の運用変更も提案している。

 対する選手会はキャップ導入を真っ向から拒否。最低年俸を150万ドル(約2億4000万円)へ引き上げ、一定額を使わない球団に「競争公正税」を科す一方、ぜいたく税の基準額引き上げなどを求めている。低支出球団にはカネを使わせながら、高支出球団の自由度は守る構図だけに、オーナー側には到底のみ込みやすい案ではない。要するに「上を押さえる」オーナー側と「下に使わせる」選手側。思想そのものが逆向きで、簡単に折り合えるはずがなく落としどころが見えてこない。

 ただ、オーナー側にも最後まで強硬姿勢を貫き、シーズンそのものを棒に振るだけの〝勇気〟があるのかは別問題だ。NHL(北米プロアイスホッケーリーグ)は04―05年に1シーズンを失ってサラリーキャップ導入に至ったが、同サイトが引用した分析でも、MLB選手会を屈服させるには同等以上の代償が必要との見方が示されている。ロブ・マンフレッド・コミッショナー(67)は「来年も野球をするつもりだ」と強調するものの、双方の溝は深い。

 その余波を最も受けかねないのがドジャースだ。大谷翔平、山本由伸、カイル・タッカーら高年俸選手へ巨額を投じる編成は、制度設計次第で補強の自由度を削られる。合意が遅れればFA、トレード、契約延長の準備も停滞し〝王朝継続〟を狙う青写真そのものが狂いかねない。

 最も厄介なのは、敵軍ではなく「試合そのものが始まらない可能性」が現実味を帯びていることだ。