秋の切符が〝大安売り〟になれば、162試合を戦う意味まで薄れてしまう。米スポーツ専門局「ESPN」電子版が問題提起した「負け越し球団のポストシーズン進出」が、シーズン最終盤を前に現実味を帯びている。
30日(日本時間31日)の全日程終了時点で、ア・リーグの勝ち越し球団はレイズ(82勝54敗)、ヤンキース(78勝59敗)、レッドソックス(74勝63敗)、ホワイトソックス(72勝64敗)、アストロズ(69勝68敗)、ガーディアンズ(69勝68敗)の6球団。現時点ではポストシーズン6枠をちょうど埋められるが、西地区首位のアストロズとワイルドカード3番手のガーディアンズは、ともに貯金わずか1。オリオールズも68勝69敗でガーディアンズと1ゲーム差に迫っており、状況は一日でひっくり返り得る。
MLBは2022年からポストシーズンを12球団制に拡大。翌23年には交流戦の割合も約12・3%から28・4%へ増えた。ESPNは、出場枠拡大とリーグ間対戦増加が重なれば、勝率5割未満の球団が秋に進む事態は「避けられない」と指摘する。約6か月にわたる162試合の〝マラソン〟を勝ち越せなかったチームまで世界一を争えるなら、レギュラーシーズンの価値そのものが揺らぐことになるというわけだ。
同局は「勝率5割をポストシーズン進出の最低条件」とすることを軸にした回避策として、資格を満たす球団が足りなければ出場枠を減らす、他地区や他リーグの勝ち越し球団を回す、負け越し球団にはシリーズ開始時点で相手に1勝を与えるという、いわゆる「ゴーストウイン」を課すなど6案を提示した。
これは海の向こうだけの問題ではない。NPBは12球団中6球団、実に半数がCSへ進める。30球団中12球団のMLBより門戸は広い。2018年には巨人が67勝71敗5分、勝率4割8分6厘の3位からファーストステージを突破した。
さらに2024年のDeNAは71勝69敗3分、勝率5割7厘の3位で、リーグ優勝の巨人に8ゲーム差をつけられながらCSを勝ち上がり、日本シリーズではソフトバンクを4勝2敗で破って26年ぶりの日本一をつかんだ。これこそ「下克上」の醍醐味である一方、リーグVの重みをどう守るかという議論も避けて通れない。
NPBは24日、今季からCSファイナルステージで1位と勝ち上がり球団が10ゲーム差以上、または勝ち上がり球団が勝率5割未満の場合、1位に2勝のアドバンテージを与える新制度を発表した。一定の歯止めではある。
だが、30球団を抱えるMLBでさえ、秋の門戸を広げ過ぎることへの危機感が噴き出している。ペナントの価値は、失ってから取り戻そうとしても遅い。












