〝奇跡〟の足音が、ほんの少しだけ聞こえてきた。セ最下位に沈む中日は4日のヤクルト戦(バンテリン)に4―3でサヨナラ勝ち。借金「17」を抱えながら、3位・ヤクルトとのゲーム差を「5」に縮めた。
1点を追う9回、ボスラーがこの日2本目の7号ソロを放って同点。なおも二死二、三塁から村松が右前へサヨナラ打を運び、ドームは熱狂の渦に――。井上一樹監督(55)は「最後は村松が何とかしてくれるんだろうと(思いました)。彼は(明治)大学時代、キャプテンだった。〝キャプテンシーを持ちつつ引っ張れよ〟という話をしているんですけど、そういったところが随所に出て頼もしいですね」とたたえた。
もっとも、残り45試合で5ゲーム差。5位・広島、4位・DeNAも上回る必要があり、14年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出は依然として険しい。それでも心強いのが竜党の熱気だ。この日も3万6604人が詰めかけ、スタンドは超満員。4回表終了後、電光掲示板には残り20試合となった主催試合のチケット販売状況が映し出され、17試合が「×」(完売)、9月1~3日の広島3連戦も「△」(残りわずか)。同21日の本拠地最終戦(広島戦)まで全試合〝満員御礼〟となる可能性が高い。
昨季の主催試合観客動員数は252万832人(72試合)で、実数発表後の球団最多。今季は昨季より1試合少ない71試合だが、4日終了時点で180万166人。残り20試合を各3万6000人で計算すると252万166人となり、昨季とほぼ同水準に達する。
中日は今季98試合を終え、5月9日の巨人戦(バンテリン)に勝って1日だけ5位へ浮上した以外は最下位。それでも2年連続の観客動員250万人突破が見込まれるのは異例で、名古屋のファンの深い愛情を物語る。
井上監督は3位との5ゲーム差について「いつも聞かれますけど、私たちは『そうですか』という立場ではない」とした上で「これだけバンテリンドームにお客さんが詰めかけてくださっている。〝損した〟〝つまんねえな〟と思われない試合を積み重ねていけば何とかなると思います」と語った。
現実はなお厳しい。だが最大借金20から逆襲し、14年ぶりのCS進出を果たせば、名古屋の街は沸騰する。












