敗戦続きの竜に、また政変の風が吹くのか――。中日は22勝41敗1分け、借金「19」の最下位で19日からのリーグ戦再開を迎える。14日の日本ハム戦(エスコン)終了後、朝田憲祐球団本部長は「来週以降もチームと球団が一体となって戦っていく。まだ諦めていない。補強など最善の策をとる」と明言。交流戦後も井上一樹監督(54)に指揮を託す方針を示した。

 一方で、パ・リーグ最下位の楽天は10日、三木肇監督(49)の休養を発表。16日には昨年までロッテを率いた吉井理人氏(61)の新監督就任が明らかになった。首脳陣刷新で低迷脱出を図る楽天とは対照的に、現体制での局面打開を選んだ中日。ファンの一部から疑問の声が上がるのも無理はない。

 それでも、1990年代の高木守道監督、星野仙一監督時代を知る中日OBの1人は「井上監督にまだ指揮を執ってもらった方がいいよ」と球団方針を支持する。根拠は苦い過去だ。2リーグ分裂後、球団ワースト2位の勝率3割8分5厘(50勝80敗)に沈んだ95年、中日はシーズン途中の監督交代が混乱に拍車をかけた。

 同年は高木監督が借金「13」の6月3日に休養を発表し、徳武定祐ヘッドコーチが監督代行に就いた。だが、前出OBは「徳武さんは張り切っていたけど、うまくいかなかった」と振り返る。チーム状況は悪化し、借金「26」となった7月23日に徳武監督代行は解任。島野育夫二軍監督が一軍の指揮を執ることになった。前半戦だけで指揮官が2度代わる異常事態は、90年の歴史を刻む球団にとっても忘れたい暗部だ。

 開幕から故障者が相次いだ今季の中日だが、交流戦期間中に岡林、サノー、橋本、福永、花田が戦線復帰。課題のリリーフ陣でも2年目左腕の吉田が18試合に登板し、わずか1失点と急成長を遂げた。セットアッパーを任せられる存在が台頭し、井上監督もようやく落ち着いてタクトを振れる材料はそろいつつある。

 とはいえ、交流戦終了時点での監督交代に反対する前出OBも「借金が30になったら、さすがに球団も動かないといけないんじゃないか」と危惧する。

 政変を回避する猶予は残された。井上竜はリーグ戦再開後、迷走ムードを振り払い、反転攻勢への号砲を鳴らせるか。