真夏の聖地は、暑さだけでなく「夜」にも勝てなければ生き残れない舞台へと変わった。第108回全国高校野球選手権大会が5日、甲子園で開幕。前日4日には開会式のリハーサルも昨夏に続き当日に合わせて熱中症対策として午後4時から行われ、出場49校がグラウンドに集結し、夕暮れの聖地を行進した。
日本高野連は酷暑を避けるため、2024年大会から試合を朝と夕方に分ける2部制を導入。今大会は2部制と同様の時間帯で開催する日を昨夏の6日間から10日間に拡大した。第3~8日は午前8時から1試合を行った後に観客を入れ替え、午後1時半から3試合。最終試合は午後6時半に始まる。
ただ、炎天下を避ける安全策が、新たな難題も生んでいる。午後1時半はなお厳しい暑さが予想される一方、ナイターでは照明下の打球や投球の見え方が昼間とは異なる。「これで十分なのか」という議論が消えない中、対応できる環境にも学校間で差がある。
第6日(10日)の第4試合で天理(奈良)と対戦する福山(広島)は、春夏通じて初出場。選手の一人はナイター対策について「やっていないですね…」と焦りを隠せなかった。
一方、第7日(11日)の第1試合で敦賀気比(福井)と対戦する横手(秋田)は、学校から車で約10分のグリーンスタジアムよこてで夜間練習を実施した。本番は午前8時開始ながら、選手は「ノックを受けたり、打席に立ったりして、光の見え方は把握できました。夜にやるのはかなり新鮮でした」と説明。朝夕で条件が大きく変わる2部制も見据え、経験できる環境を最大限に活用した。第7日の第4試合で三重とぶつかる松商学園(長野)も、隣県・山梨の高校との練習試合でナイターを経験。「本当にありがたかったです」と〝隣県の縁〟に感謝した。
5回終了後のクーリングタイムなど対策は進む。それでも安全を守るための大会改革が、準備環境の違いという新たな格差を浮かび上がらせた。変貌する甲子園への適応力もまた、勝敗を左右する時代に突入している。












