欲しい球団は山ほどある。だが、最後に最も重い札を積み上げられるのは、またしても〝銀河系軍団〟なのか――。米メディア「ヘビー」は30日(日本時間同日)、8月3日(同4日)のトレード期限を前に、タイガースのタリク・スクバル投手(29)争奪戦でドジャースが「大本命」とみられている背景に焦点を当てた。
米スポーツ専門局「ESPN」のジェフ・パッサン氏は今週、同局の番組「ファースト・テイク」に出演。ブルワーズやブレーブスなどの参戦が予想されながら、球界内ではドジャース行きを半ば既定路線として受け止める空気があると説明した。こうした「ドジャース有利」の見方は既に相次いでいるが、同氏が続けた一言は争奪戦の核心を突いている。
「ほかの球団に、彼らがテーブルに載せる条件を上回る覚悟があるのか」
最大の理由は、単なる資金力ではない。交換要員として差し出せる〝戦力の物量〟だ。MLB公式サイトは、ドジャースが全球団最多となる9人の「トップ100」有望株を抱えていると指摘。タイガースが求めるとみられるメジャー即戦力級の若手投手に加え、上位の外野手有望株、既にメジャー経験を持つ若手まで、複数の組み合わせを提示できる。
しかも、何人かを放出しても組織全体が空洞化しにくい。相手の要求に応じてカードを入れ替えながら、他球団の提示条件を一段ずつ上回れる。これこそが、ドジャースが「欲しい」と決断した瞬間に争奪戦の主導権を握るとみられる最大の根拠だ。
獲得の必要性も高まりつつある。大谷は左膝の炎症に加え、右上腕二頭筋にも問題を抱え、7月3日を最後に登板から遠ざかっている。山本や今季球宴に選出されたロブレスキが先発陣を支えているとはいえ、3連覇が懸かる短期決戦を見据えれば、絶対的な左腕エースを加える価値は計り知れない。ライバル球団への流出を防ぐ意味もある。
スクバルはア・リーグのサイ・ヤング賞を2年連続で受賞。今季も16試合で7勝5敗、防御率2・79、116奪三振をマークし、29日(日本時間30日)のオリオールズ戦では6回3分の2を投げて試合をつくり、球団史上最速となる通算857イニングで1000奪三振に到達した。今季終了後にFAとなるため、獲得側にとっては原則として約2か月の〝レンタル〟だが、ドジャースなら世界一への切符代として割り切れる上、その後の大型契約まで視野に入れられる。
ブルワーズ、ブレーブス、レイズ、ヤンキース、フィリーズなども候補に挙がる。だが、トップ級有望株やメジャー即戦力を削り、短期間しか保有できない可能性がある投手へ、ドジャース以上の対価を投じ切れるか。パッサン氏が投げかけた「覚悟」とは、まさにそこだ。
争点は、スクバルを欲しがる球団がどこかではない。未来を大きく傷つけず、タイガースをうならせる最大級の条件を出せるのはどこかだ。その答えとして多くの有識者や米メディアがドジャースを挙げるのは、札束だけでなく、豊富な若手資産と再契約まで見据えられる総合力があるからにほかならない。球団が本気の号砲を鳴らせば、今夏最大の争奪戦は一気に〝ドジャース無双〟へ傾く可能性がある。












