〝未完の大砲〟が、ついに竜の新主砲へと殻を破り始めた。中日は15日の阪神戦(バンテリンドーム)に6―5で競り勝ち、連敗を2で止めた。打のヒーローは6回に7号ソロ、7回には適時二塁打を放ち、貴重な追加点をたたき出した石川昂弥内野手(25)だ。「阪神打線はすごく怖いので、あそこ(7回)で1点取れたのは試合展開でも大きかった。まだまだ活躍できるように、チームがもっともっと勝てるように頑張ります」。力強い言葉にスタンドから大歓声が送られた。

 開幕からわずか4試合で二軍落ちした石川昂だが、5月13日の一軍復帰後は別人のような活躍を披露。この日を終えて打率3割3厘、7本塁打、27打点と、いまや打線に欠かせない存在となった。その打撃開眼を後押ししたとみられるのが、今季から本拠地に導入されたホームランウイングだ。

 この日の一発も右中間のホームランウイングへ運んだ。石川昂は「去年までだったら完璧じゃないと入らないので、ホームランを打ちたい場面で力んでしまうことがあった。ホームランウイングができてからは、芯にしっかり当てて、ある程度角度がつけば入るという考えでいられる。気持ち的には楽ですし、大振りすることなくやれている」と明かす。心の余裕がスイングの力みを消した。

 高卒1年目の2020年7月22、23日には、本拠地の巨人戦で2試合連続のフェンス直撃打を放ちながら、記録は適時打と二塁打。「よその球場なら2本ともスタンドイン」「高卒ルーキーが巨人戦で2試合連続本塁打なら大騒ぎだった」と、OBや関係者からは長距離砲が育ちにくい球場環境への不満が噴出した。

 あれから6年。ホームランウイングという追い風を得て、長く待たれた大器がいよいよ覚醒の時を迎えた。石川昂のバットが竜の未来を切り開く。