豪華投手陣をどう料理するか――ではなく、最後まで投げ切れるのか。夢舞台のベンチで、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督(54)は薄氷を踏む思いだった。
14日(日本時間15日)、米ペンシルベニア州フィラデルフィアのシチズンズ・バンク・パークで行われたMLBオールスター戦。ナ・リーグを率いたロバーツ監督は、ア・リーグに0―4で敗れた試合で投手のやりくりに神経をすり減らした。米有力紙「ニューヨーク・タイムズ」傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」が、その舞台裏を報じた。
最大のピンチは初回に訪れた。ナ・リーグ先発のフィリーズ、クリストファー・サンチェス投手(29)が3点を失い、投球数は30球を超えた。ロバーツ監督はカージナルスのライリー・オブライエン投手(31)への交代も考えたが、すぐには動けない。ここでカードを切ればブルペン陣の登板順が前倒しとなり、最後まで投手をつなげなくなる恐れがあった。
ナ・リーグが確保できたのは、ドジャースのジャスティン・ロブレスキ投手(26)が2イニングを投げる前提でも計10イニング分。イニングをまたぐため再び肩をつくれるのはロブレスキだけで、他の投手は各球団の意向によりウオーミングアップを1度に限られていた。名簿は華やかでも、実働できる投手は綱渡り状態だった。
ロバーツ監督はサンチェスの続投可否を確かめるため、フィリーズのドン・マッティングリー監督(65)に視線を送った。「もう1人いける」と確認を得て続投させると、サンチェスはタイガースのライリー・グリーン外野手(25)を三振。仮に打ち取れなかった場合を問われたロバーツ監督は「パニック状態だった」と打ち明けた。
皮肉にも、ロバーツ監督の所属するドジャースも山本由伸投手(27)を登板させない方針を事前に決めていた。他球団からも主力投手を使わないよう要請が相次ぎ、スターが集うはずの球宴で、指揮官は相手打線より先に「投手切れ」を恐れなければならなかった。
ロバーツ監督は、球団の意向を尊重して選手をケアしながら、それでも試合を完走させなければならない点こそ「一番ストレスがかかる」と説明。最高の選手は球宴に集い、プレーを望むべきだとしつつ、選手も球団も参加への関心を薄れさせている現状を嘆いた。
MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナー(67)も、球宴直前の日曜日に登板した投手は出場できない規定を各球団が利用していると問題視。開催を火曜日から水曜日へ移し、休養日を増やす案も浮上しているが、慎重姿勢を崩さない球団がある限り根本解決は難しい。
ドジャースでスター軍団を操るロバーツ監督が最も恐れたのは、相手の強打者ではなく味方の投手が尽きることだった。華やかな「真夏の祭典」の裏側には、何とも世知辛い現実が横たわっている。












