売るのは戦力、売れないのは火種だ。今季の立て直しが事実上困難となり、8月3日(日本時間4日)のトレード期限で「売り手」に回るメッツ。その大整理の渦中でも、フランシスコ・リンドア内野手(32)は結局、ニューヨークに残る可能性が高いという。では、フアン・ソト外野手(27)との間にくすぶる〝不仲説〟はどう決着させるのか。

 米メディア「ファンサイデッド」運営のメッツ専門サイト「ライジング・アップル」は14日(同15日)、デービッド・スターンズ編成本部長が期限までに進める編成作業を5項目に分けて予測した。低迷から抜け出せないチームに今季の逆転浮上は望みにくく、目先の勝利よりファーム組織の再整備と2027年以降を見据えた戦力の入れ替えが最優先となる。

 同サイトは、タイロン・テイラー外野手(32)らを含め、見返りが大きくなくても幅広い選手を放出対象にすると分析。一方で、今季終了後に契約を破棄できるクレイ・ホームズ投手(33)は残留するとみる。本人が契約延長を望んでおり、まとまらなくても球団はクオリファイング・オファーを提示し、他球団移籍時の補償指名権を得られる可能性があるためだ。

 売却候補にはワスカル・ブラゾバン投手(36)を挙げ、救援陣を必要とするカブス、パイレーツ、レイズが相手先として浮上。マイナー降格のオプションを今季で使い切るトバイアス・マイヤーズ投手(27)も、予想外の放出要員になるとした。その一方、単なる大放出に終始せず、将来の戦力として救援投手を獲得する変則的なトレードも起こり得るという。

 そして最大の注目がリンドアだ。同サイトは、パドレスやブルージェイズを絡めた具体性のあるトレード話が期限直前に飛び交うと予測しながら、「結局、何も起こらない」と断じた。球団に放出の意思はなく、リンドアには長期契約に加え、MLB在籍10年以上かつ同一球団5年以上の選手に認められるトレード拒否権もある。成立へのハードルは極めて高い。

 ただし、残留で一件落着とはならない。球団内での立場やリーダーシップを巡り、リンドアとソトの関係には雑音がつきまとってきた。真偽不明の不仲説であっても、敗戦が重なれば疑念は膨らみ、再建途上のチームを内側から揺さぶりかねない。

 戦力を入れ替えるだけなら期限までにできる。だが、2人の看板スターを同じ方向へ向かせる作業は、選手を売るよりはるかに難しい。リンドア放出を見送るなら、スターンズ編成本部長にはソトとの関係を整理し、チームの軸を明確にする責任が残る。メッツの再建は、トレード成立の数ではなく、この〝火種〟を消せるかどうかにかかっている。