希代の天才は、またしても勝てないチームで秋を待たずにシーズンを終えるのか。14日(日本時間15日)にフィラデルフィアで行われたMLBオールスター戦。故郷の米ニュージャージー州ミルビルに近い夢舞台で、エンゼルスのマイク・トラウト外野手(34)は12度目の球宴出場を果たし、地元ファンからひときわ大きな声援を浴びた。今季は283打席で打率2割3分7厘、出塁率3割9分、長打率4割3分7厘、OPS0・837、WAR2・8。故障に苦しんできた近年を思えば、なお球界屈指の存在であることを示している。
だが、その晴れ舞台で沸騰したのは称賛だけではなかった。米メディア「ヘビー」は15日(日本時間同日)、トラウトを巡る異例の〝移籍要求〟を報道。米衛星ラジオ「シリウスXM」の冠番組や米紙「ニューヨーク・ポスト」の配信番組で司会を務める人気スポーツキャスターのアダム・シャイン氏は自身のインスタグラムで「マイク・トラウトを解放せよ!」と訴え、故郷に近いフィリーズへ放出すべきだと実名でアナウンスした。
シャイン氏の舌鋒は球団にも向いた。「エンゼルスは最悪だ。スポーツ界でも野球界でも最悪のオーナーだ」と痛烈に批判し、トラウトについては「メジャー史上最高のキャリアスタートを切った選手」と絶賛。故障歴や大型契約を踏まえれば争奪戦になる可能性は低いとしながらも、「唯一の例外はフィラデルフィア。ほかにはあり得ない」とまで言い切った。
それほどまでに、トラウトを取り巻く環境は悲惨だ。メジャー16年目を迎えながら、ポストシーズン出場は2014年の3試合だけ。エンゼルスは昨季まで11年連続で10月の舞台から遠ざかり、今季も前半戦を38勝59敗、ア・リーグ西地区最下位で折り返した。6月26日(同27日)にはペリー・ミナシアンGMを解任し、ジョン・モゼリアク氏を暫定GMに据えたものの、浮上への道筋は見えてこない。
もっとも、トレードの現実味は依然として乏しい。トラウトは全球団に対するトレード拒否権を持ち、「僕はエンゼルスの選手。最終的には僕が決めること」と明言。ヤンキース一筋を貫いたデレク・ジーター氏への憧れも強く、本人が移籍へ大きくかじを切らない限り、交渉は始まらない。巨額の残契約や近年の故障歴も、獲得側には重い判断材料となる。
8月3日(同4日)のトレード期限を前に、売り手となるエンゼルスからトラウトを救い出せ――。そんな声は毎年のように浮かんでは消えてきた。今夏も残留が既定路線とみられる中、12度も球宴に選ばれた歴史的スターが、またしても事実上の〝飼い殺し〟に終わるのか。「解放せよ」という異例の叫びは、エンゼルスの長すぎる低迷そのものへ突きつけられた最後通告でもある。












