主役を締め出したツケは、地元の大舞台であまりにも高くついた。14日(同15日)にフィラデルフィアのシチズンズ・バンク・パークで行われたMLBオールスター戦で、ナ・リーグがア・リーグに0―4で完封負けを喫した結果を受け、米国内から球宴の投手選出規定を見直すべきだとの声が沸き起こり、波紋を広げている。米スポーツ専門局「ESPN」や米メディア「ヤードバーカー」は、球宴開催地の地元球団フィリーズのザック・ウィーラー投手(36)が「民意を無視した選考規定」により、二転三転で出場資格を得ながらも〝怒りのボイコット〟を表明した背景をあらためてクローズアップした。
ウィーラーは昨年8月に胸郭出口症候群の手術を受け、今季は開幕から約1か月出遅れながら、前半戦を10勝1敗、防御率2・13で折り返した。ナ・リーグで防御率トップに迫り、サイ・ヤング賞争いにも割って入る快投。低迷スタートとなったフィリーズが54勝43敗まで巻き返し、トレード期限を前に「買い手」として動ける状況をつくった原動力の一人でもある。
ところが、ウィーラーは5日(同6日)に発表された当初の球宴メンバーから落選した。今季は球宴直前の日曜日に先発予定の投手を最初の選考対象から外す運用になったと報じられており、12日(同13日)のタイガース戦に先発するローテーションだったことが影響した。従来は日曜先発の投手も球宴選手として認定した上で、実戦ロースターでは代替投手を補充していただけに、ウィーラーは「特定の日に投げるだけで罰を受けるようなものだ」と怒りをあらわにした。
しかも7日(同8日)に発表された最初の代替選手にも入らず、10日(同11日)になって故障者の代役として招集を打診された。だが「5番目の選択肢にはなりたくない。侮辱された」と辞退。球宴に正式選出された後で登板を取りやめたのではなく、最初と次の選考で外され、土壇場の招集を拒んだというのが正確な経緯だ。
ウィーラーは直後の12日、タイガース戦で6回2安打無失点、10奪三振と快投し、10勝目を挙げた。今季9勝中で球宴に選出された左腕セール(ブレーブス)も「ウィーラーは球界屈指の投手。彼の数字は自分より上なのに、私はここにいる」と選考に疑問を呈した。
そして迎えた球宴では、地元フィリーズのサンチェスが初回に3失点。ナ・リーグ打線もわずか3安打、球宴史上最多の15三振に封じられ、2013年以来となる完封負けを喫した。前出のESPNやヤードバーカーは「あくまでも結果論」と断った上で、経験豊富なウィーラーがいれば展開は違った可能性があると指摘した。
投手の健康を守る配慮は欠かせない。だが、そのために最高峰の投手から選出の栄誉まで奪い、地元開催の球宴から主役を消しては本末転倒だ。ウィーラーを巡るドタバタとナ・リーグの惨敗は、MLBに〝ルールのためのルール〟を放置してもいいのかという重い宿題を突きつけている。












