セ・リーグ首位に立つ阪神は12日のヤクルト戦(甲子園)に3―0で競り勝ち2連勝。2位・巨人も勝利したため1ゲーム差のままとなったが、黒星が先行していた7月の成績を4勝4敗の五分に戻した。

 0―0の7回に2番手として登板し、1イニングを無安打無失点に抑えた工藤泰成投手(24)がプロ初白星をゲット。支配下登録されたばかりの昨季は課題の制球難を克服できず「一軍で打たれては登録抹消」を繰り返し、シーズンの大半をファームで過ごしてきた。

 だが、プロ2年目の今季は才能がついに開花。直球の最速は163キロに達し、ここまで27試合に救援登板して防御率1・63。今やチームの勝ちパターン継投の一角に定着しつつある。

 藤川球児監督(45)のチームマネジメントの特色として顕著なのは「懲罰的抹消措置」の多さだ。敗戦に直結する失策やボーンヘッドを犯した選手は容赦なく即二軍落ち。制球難などで試合を壊した投手も同様に処されており「ミスを犯した選手に挽回の機会すら与えず、即断で懲罰的な抹消を連発すれば、特に若手はミスを恐れて萎縮してしまう」との批判を招くことも多かった。

 ところが、試合後の指揮官はこれまでの工藤の歩みを振り返った上で〝真意〟をこう語った。

「一軍にいることがすべてではない。ファームの実戦で打者に投げる、投手のボールを見る方がプラスになることがある。(再昇格までの最短日数は)たった10日間ですからね。工藤の場合は昨季は(一軍の)救援陣が5月以降は固まっていた。ですがファームで研さんを積んだ。考えようによってはマイナスに捉えられるかもしれないでしょうが、私は全くそうではない」

 昨季のうちにまいた工藤という種は、1年もたたないうちに豊かな実りと恵みをチームにもたらしている。

 中長期的視野でチーム全体の底上げを図る藤川監督の座右の銘は「フィニッシュ・ストロング」。最後まで力強くシーズンを戦い抜く。決して尻すぼみでは終わらせないという思いが込められている。不動のリードオフマン・近本も左手首の骨折を経て、この3連戦から戦列復帰。最後に一番強いチームであるための準備は静かに整いつつある。