阪神は9日のヤクルト戦(甲子園)に3―5で逆転負け。ホームで5戦を終えても勝ち星を挙げられず、打線は37イニング連続で適時打なしという窮状だ。

 2回に3点を先制したものの、好投を続けていた先発のビーズリーが6回に急変した。先頭打者の西川に四球を与え、長岡に右翼線二塁打を許して無死二、三塁のピンチを招いたところで、藤川球児監督(44)は継投策を決断した。ここに藤川野球の〝覚悟〟がにじみ出ていた。是が非でも勝利をつかみにいくのであれば、5回でビーズリーを交代させる選択肢もあったはずだが、指揮官は続投させた。

「打順的にもあそこ(が分岐点)。あそこはしのがないと。そういう(先発としての)役割があるというのは昔から変わっていないと思う。春から毎回、5回では降ろせない」

 そして、何よりもこの難しい局面でマウンドに送り出したのは、育成ドラフト1位で入団し開幕前に支配下に昇格させたばかりの工藤泰成投手(23)だった。結果、工藤は2暴投を含む2四球で2失点を喫し、一気に相手に傾いた流れを止めることはできず、この回だけで一気に5点を失い、大勢が決した。結果論だけで見れば、継投は失敗。しかし、この人選にこそ藤川監督の工藤の成長にかける決意が込められていた。

「成功体験も必要になるし、作っていくという意味ではいかなくてはいけないところ。経験しながら強くなっていくのが選手。選手もどんどん失敗を重ねながら強くなっていくんで」

 痛い敗戦であることは間違いない。だが、指揮官に悲壮感は一切なかった。長いシーズンを見据えれば失敗もある。今度は若き右腕が虎将の〝親心〟に応える番となりそうだ。