どちらが近道なのか。ソフトバンクは昨秋のドラフト会議で1位指名したスタンフォード大・佐々木麟太郎内野手(21)と1日に福岡市内で面談を行った。城島CBOら球団幹部が食事を囲みながら交流を深め、約3時間のロング交渉。メジャー志望が強い佐々木は今月中旬にMLBドラフトを控え、その結果を踏まえて進路を選択する意向だ。
長時間の面談を終えて取材に応じた佐々木は「大変驚きました」と目を輝かせた。目の前に並んだ分厚い資料に目を奪われたからだ。「自分自身の(最新)データを反映したものをご準備いただいているとは思わなかった。細かく原因だったり、真因を突き詰めるデータの詳細をいただいた。課題に思っているところのデータと数値がすごく一致しているところが多かった」。欲しい情報、明日からでも練習に取り入れたいと思える改善点が満載だったようだ。
ソフトバンクが誇るデータサイエンスの精鋭たちは、佐々木を丸裸にしていた。聞こえのいい言葉よりも、弱点を明確に突く指摘は相手を思ってのこと。佐々木がどこにゴールを定めているのかを理解し、数年後にその領域へ導くために入団翌日からスタートさせる「特別育成プログラム」を用意していた。
単にメジャーでプレーすることがゴールではない。大谷(ドジャース)、鈴木(カブス)、村上(ホワイトソックス)、岡本(ブルージェイズ)のように「チームの核」を担う選手を理想としているはずだ。今ある選択肢の中で最終目標への近道はどれか。保有選手が多いほど、一人の選手に目をかけることは難しくなる。少なくとも今回ソフトバンクが用意した待遇は、MLBドラフト「最上位クラス」の候補選手でも受けられない。
面談の席で「自分がこういうデータを出してくれとか、練習をしたいって言ったらできるんですか」と尋ねた佐々木に、城島CBOは「昔みたいにこれやれ、あれやれって時代じゃない。やりたくない練習はしなくてもいい」と伝えた。メジャーを選択した場合に現実的に今の実力では得られない環境。鷹は命運をかけて指名したからこそできる厚遇を愚直にアピールした形だ。
城島CBOが佐々木を高く評価するのは、その「人間性」。聡明だからこそ響くものがある。釣果は果たして――。












