ソフトバンク・前田悠伍投手(21)が17日までに13試合に先発して10勝0敗、防御率1・75の好成績で大ブレークを果たしている。

 7月の月間MVPにも輝き、高卒3年目以内の開幕10連勝は1966年の堀内恒夫(巨人)以来。6月以降の9登板で「2失点以上した試合」はわずか1試合と安定感が際立っている。17日はみずほペイペイドームで行われた投手指名練習に参加。中10日で先発する見込みの20日の日本ハム戦(エスコン)に向けて「しっかりとリフレッシュもしつつ、練習もできている」とコンディションに自信を見せた。

 野心を抱きつつ、自らの現在地を冷静に見つめて前進を続けている。ここまでの輝かしい戦績にも「野手との兼ね合いもある」と攻撃陣の頼もしい援護に感謝を忘れず「ベストで投げられれば、おのずとそういう方向にいく」と心身両面の充実ぶりをうかがわせた。

 優勝争い、順位争いが佳境を迎える後半戦になっても、浮き足立つことはない。「あまり長い目で見ていない。(目の前の)1試合に向けてっていう形でやっている」。開幕から無傷の10連勝中だが、慢心もない。「(次の試合が)もうラストというか、ここで打たれたら二軍(降格)というのを常に意識している」。21歳の若鷹は毎試合〝背水の覚悟〟でマウンドに上がっている。

 高卒3年目で立派な数字を叩き出しているが、向上心の塊のような左腕には〝達成感〟よりも〝危機感〟の方が先に浮かぶようだ。「やっぱり、一番にはまだなれていないんで」。甲子園優勝投手に輝き、U18日本代表で世界一を経験した男は〝単発〟ではなく、2年、3年と結果を積み重ねることでしか得られない信頼があることを知っている。〝揺るぎない存在でなければ、代わりはいくらでもいる〟という感覚が、開幕10連勝中であっても強い危機感を抱いている理由だ。

 順風満帆の成長曲線――。たくましい心構えが躍進を支えている。