王者の屋台骨に、厄介な火種が残ることになった。

 米老舗誌「スポーツ・イラストレイテッド」の電子版「ON SI」は25日(日本時間26日)までに、ドジャースのウィル・スミス捕手(31)が首の炎症で当面復帰しない見込みだと報じた。6月6日(同7日)から欠場している正捕手は、当初1試合だけの欠場とみられ、その後の故障者リスト入りも短期離脱との見方が強かった。

 ところが、デーブ・ロバーツ監督(54)は24日(同25日)に「まだ野球関連の活動を一切していない」と説明。チームは遠征残り6試合を消化した後、7月2日(同3日)に本拠地ロサンゼルスへ戻ってパドレス4連戦を迎えるが、そこに間に合うかも不透明になった。

 スミスは離脱前から打率2割4分9厘、6本塁打、23打点、OPS・720と打撃面で苦しんでいた。それでも投手陣を束ねる正捕手の不在は、単なる1人の欠場にとどまらない。代役として先発マスクを託されるダルトン・ラッシング捕手(25)は打率2割4分5厘、8本塁打、22打点、OPS・799。打力だけを見れば成長の跡は十分にあり、将来への期待も大きい。問題は、その才能がまだチーム全体の安定感に直結していないことだ。

 象徴的だったのが、24日の敵地ツインズ戦だった。ドジャースは4―3で勝って3連戦をスイープしたが、大谷翔平投手(31)とバッテリーを組んだラッシングは、サイン交換や投球の組み立てを巡ってかみ合わない場面があり、感情をあらわにする姿も物議をかもした。試合後には本人が「恥ずかしい」と振り返ったが、ON SIも今季のラッシングについて、相手チームとのトラブルや感情の起伏が問題になってきたと指摘している。

 若い捕手が経験を積む過程で壁にぶつかるのは自然なことだ。ドジャースもラッシングを支え、感情のコントロールやチームメートへの信頼を学ばせようとしている。ただ、スミスの離脱が長引けば、学習期間はそのまま公式戦の勝敗に直結する。後ろにはチャッキー・ロビンソン捕手(31)も控えるとはいえ、中心は引き続きラッシングとなる公算が大きい。打てる問題児が成長株で終わるか、それとも王者の足かせとなるか。ドジャースの悲報は、捕手問題という見えにくいリスクを一気に表面化させた。