雨が歯がゆさをいっそう募らせた。阪神・前川右京外野手(22)が17日、DeNAとの練習試合出場に備えて宜野座から具志川組に合流したものの、降雨中止。限られた実戦機会の中で「きっかけ」を探している最中だけに、空を見上げるしかなかった。

 室内練習場で打撃練習を行うなどバットを振り込んだ後、取材陣に対応した前川は「毎日積み重ね。土台を作るためにも一日、一日やりたい。アピール、アピールにならないように…自然にできれば」と語り、焦りを押し殺した。言葉は淡々としていたが、内面の揺れは隠しきれない。

 状態は本人が最も分かっている。「スイングの上下が合わない。(上半身と下半身の連動がうまく機能せず)力が伝わってこない。(バットを)振ってても『うーん』っていう打球が多い」

 11日の紅白戦(宜野座)では2安打を放ったが、手応えは「ないです」。ゴロヒットが続き、打球は上がらず強さも伴わない。「今のままではダメ。このままだと去年と同じになる。それだけは避けないと」。自らの言葉で追い込んだ。

 2024年は116試合で打率2割6分9厘、4本塁打42打点。レギュラー獲りへ最も近い存在に成長した一方、昨季は69試合で2割4分6厘、1本塁打15打点と数字を落とした。

 そこへ同い年の立石正広(22=創価大)がドラフト1位で加入。大学ナンバーワン打者と、高校からプロで鍛え上げてきたスラッガーという対比は象徴的だ。良き仲間でありながら、シーズンに入ればポジションを争うライバルになる可能性もある。譲れないものは譲れない。

 技術面では「ヘッドを走らせる」感覚の回復が鍵となる。インパクトで〝パッ〟と振り抜くスイングを思い出すため、自身の動画を見返しながら「良かった時に戻しつつ、アップデートもしないといけない」と試行錯誤を続ける。

 もっとも、前へ進むには順序がある。「自分のやるべきことをやらない限りは次に進まない。周りは気にせずやっていきたい」と足元を見つめた。平田勝男二軍監督(66)は「天気には勝てん」と雨を嘆きつつも、悩める5年目の背中を静かに見守っていた。