失敗した補強は、勝ち負けの数字以上に球団の判断力を問う。レッドソックスが昨オフに断行したブルワーズとのトレードに対し、米メディアが厳しい視線を向けている。

 チームは前カードのロイヤルズ3連戦を3連勝し、最近こそ好調モードに転じつつある。それでも21日(同22日)現在は22勝27敗、ア・リーグ東地区4位。首位レイズとは11・5ゲーム差、ワイルドカード圏にも2ゲーム差を残す。序盤から黒星を重ねた低迷の影に、編成の誤算が横たわっているという指摘だ。

 米メディア「ヘビー」が問題視したのは、2月9日(同10日)に成立したトレードだ。レッドソックスはカイル・ハリソン(24)投手、シェーン・ドロハン(27)投手、デービッド・ハミルトン(28)内野手をブルワーズへ送り、ケイレブ・ダービン(26)内野手らを獲得した。アレックス・ブレグマン(32)内野手を失った三塁の穴を埋める補強と見られていたが、現実は残酷だった。ダービンは打率1割6分8厘、1本塁打、15打点、OPS・492と苦しみ、攻撃面の起爆剤にはなっていない。

 一方で、ミルウォーキーに渡ったハリソンは完全に化けた。20日(同21日)のカブス戦では7回2安打無失点、11奪三振の快投で5―0勝利と同一カード3連戦スイープに貢献。今季は5勝1敗、防御率1・77、59奪三振、WHIP1・07。ボストンに残っていれば先発陣の柱としてエース候補になっていた可能性もある左腕が、敵地で首位快走の象徴になっている。ドロハン、ハミルトンも役割を得ており、ブルワーズ側の見極めの鋭さばかりが際立つ。

首位ブルワーズを牽引する元レッドソックスの左腕ハリソン(ロイター)
首位ブルワーズを牽引する元レッドソックスの左腕ハリソン(ロイター)

 チームの立ち位置も対照的だ。ブルワーズは29勝18敗でナ・リーグ中地区首位。得点237、失点162の得失点差プラス75と、派手さよりも投打の総合力で機能している。対するレッドソックスは得点181、失点192のマイナス11。吉田正尚外野手(32)も打率2割5分8厘、0本塁打、6打点と一定の出塁力を示しながら、チーム全体を押し上げる決定打にはなり切れていない。

 もちろん、直近3連勝でボストンの空気が変わり始めたのは事実だ。だが、かつての有望株を手放し、獲得した即戦力が沈む一方、交換相手は放出の判断を成功に変えた。レッドソックスの復調が本物かどうかを占う上でも、このトレードは今後もしばらく、クレイグ・ブレスローGM(45)への批判を呼び込む火種であり続ける。