中途半端な位置にいる名門ほど、期限前の判断は難しい。ボストンを拠点とする地域スポーツ専門局「NESN」電子版が、今季のトレード期限となる米東部時間8月3日(日本時間4日)の午後6時を前にレッドソックスの進路を占っている。

 レッドソックスは18日(同19日)の敵地カウフマン・スタジアムでのロイヤルズ戦に3―1で勝利した。ソニー・グレイ投手(36)が6回を5安打1失点、今季最多9奪三振の力投。6回にウィルソン・コントレラス捕手(34)が決勝の10号2ランを放ち、終盤は救援陣が逃げ切った。吉田正尚外野手(32)も4打数1安打で今季初三塁打を放ち、5回には左翼から本塁へ好返球。失点を阻止する補殺で存在感を示した。

 とはいえ、立ち位置は微妙だ。この勝利によって18日時点で20勝27敗となったが、ア・リーグ東地区では最下位。首位レイズとは11・5ゲーム差をつけられている。一方で、ワイルドカード圏内までは2ゲーム差。完全な売り手に回るには早く、無理に買い手へ振り切るにも説得力を欠く。クレイグ・ブレスロー編成本部長(45)にとっても、最も難しい「灰色の時間帯」に入った。

 NESNが強調したのは、若い先発投手を安易に動かすべきではないという点だ。中でもペイトン・トール投手(23)は、米メディアの分析でチーム内の「最もトレード不可能な選手」に挙げられた。今季は5試合で30回2/3を投げ、防御率2・05、WHIP0・78。16日(同17日)のブレーブス戦では8回2失点と、将来の柱を思わせる内容を見せた。コネリー・アーリー投手(24)とともに、再建と勝負の両方を支える存在だ。

「買い手」に回る場合、補強ポイントは意外にも先発投手と見られている。候補にはジャイアンツのロビー・レイ投手(34)、メッツのフレディ・ペラルタ投手(29)らの名前が浮上。ともに今季終了後にFAとなる可能性があり、短期補強としては現実味がある。ただし、それはトール級の若手を差し出さないことが前提だ。

 吉田もまた、チーム方針を映す存在と言える。今季は打率2割5分9厘、0本塁打、6打点、OPS・698。爆発力では物足りなさも残るが、この日のロイヤルズ戦のように攻守で試合を動かす場面はある。

 売り手か、買い手か。レッドソックスの判断は、吉田の出場機会と役割にも直結する。名門の夏は、まだどちらにも転び得る。