笑顔の司令塔が鬼の面をかぶれば、ベンチの空気も締まる。日本ハムは19日の楽天戦(エスコンフィールド)に6―2で逆転勝ちした。

 先発の伊藤は6回11安打を浴びながら2失点で粘り、打線は0―1の2回に郡司、万波の2ラン2発などで4点を奪取。3回にも2点を加え、主導権を握った。チームは22勝23敗の借金1ながら、パ3位。足踏みの中で反転へのきっかけをつかんだ一勝となった。

 その裏側には、新庄剛志監督(54)の〝鬼モード〟がある。日頃は明るさを前面に出す指揮官だが、ここ数試合は表情が険しい。17日の西武戦(エスコン)に敗れた後は、広報を通じて「ミスが多すぎて話す気にならないから今日は勘弁して」とコメント。球場から駐車場へ向かう通路でも、周囲が息をのむほど厳しい表情を見せた。

 無理もない。開幕から4月末までの29試合で27失策を記録した守備は、5月に入って5失策と改善傾向にある。一方でバント失敗や併殺を取り切れない場面など、記録に残りにくいミスが続いている。小さなほころびが勝敗に直結しているだけに、指揮官の危機感は強い。

 交流戦前の戦い方も重いテーマだ。新庄監督は4月末から交流戦前までに「貯金1」を目標に掲げ、ナインに奮起を促してきた。しかし、19日の勝利後もチームは借金1。26日から始まる交流戦へ貯金を持って入るには、残された試合で白星を積み上げるしかない。

 その空気を、首脳陣も選手も感じ取っている。19日の試合前、全体練習の前に達、細野らがバスターやバントを入念に確認した。横尾打撃コーチは「監督から言われたわけではない。交流戦もありますし」と投手陣の自発的な取り組みだったと説明。「ボスなんで、いつ何があるか分からない。それは投手も野手も一緒。そのための準備をしておかないといけない」とうなずいた。

 無言の圧は、確かにチームを動かしている。楽天戦では伊藤が再三走者を背負いながら試合を壊さず、郡司にも待望の一発が飛び出した。新庄監督は「郡司君は相性もあってか、タイミングが合って完璧でしたね。本人が一番ほっとしているんじゃないですか。伊藤君も自分でピンチを作って抑えるんですから。大したもんですよ」と久々に笑顔をのぞかせた。

 険しい表情がナインの背筋を伸ばし、白星を呼び込んだのなら、日本ハムの逆襲はまだ終わっていない。