ドジャース・大谷翔平投手(31)が20日(日本時間21日)のパドレス戦(サンディエゴ)に「1番・投手兼指名打者(DH)」で出場し、史上初の快挙を成し遂げた。

 4登板ぶりとなるリアル二刀流で、初回に「初球先頭打者弾」。先に攻撃から始まる敵地での試合で「打者・大谷」がド派手な〝プレーボール弾〟を叩き込み、自ら「投手・大谷」を援護した。投げては5回3安打無失点。センセーショナルな一発が決勝弾となり、4勝目を手にした。レギュラーシーズンで投手が先頭打者アーチを放つのはメジャー史上初。昨季のポストシーズンでも初回先頭弾を記録しているが、初球はMLB初の偉業となった。

 大谷は日本ハム時代の2016年7月3日の敵地・ソフトバンク戦でも初球先頭打者弾をマークしている。投げては8回10奪三振、5安打無失点で勝利に貢献。日本ハム大逆転Vの流れをつくり、リアル二刀流として最大のインパクトを残した。

 歴史的一発を献上した投手が、現ソフトバンク一軍投手コーチの中田賢一だった。「対策を練っていった初球だった。それをしっかりと打ち返す精神力を含めて、すごく能力が高い選手だと思った」。相手はすでに強打を誇っていた21歳。大事な先制点を阻止する上で先頭の長打は避けたかった。「僕は結構(左打者の)インコースにスライダーを投げ込める投手だった。打たれた球は甘めだったけど、きっちり投げ込めば、当たってもファウル。振ってこないとも思っていた。それを正直あそこまで完璧に持っていかれるとは思っていなかった」。当時のデータも踏まえて対策を練った配球だったが、大谷が弱点を突いてくると読んだのか、反応で打ったのかは定かではないが、当時の中田は末恐ろしさを感じ取っていた。

 NPBでのあの日がそうだったように、現地20日はMLBで伝説の日となった。練習中に一報を耳にした中田コーチは「何を言おうと、彼は世界一の選手。僕にとって、あれはあれで今思えばありがたいこと。彼にはどんな記録も打ち立ててほしい」と祝福。その上で「二刀流」の真価が問われる大事なゲームで実力を証明したスーパースターを称賛した。登板した試合の打撃成績の低迷を指摘され始めていた最中、雑音をかき消す活躍。「(背景を含めて)そういうことをやっても、もう誰も驚かない選手になっていると思う。実際にやりそうだなってことをやってのけること、野球ファンの期待に応えること、そういう特別な力があるんだなってところを改めて感じた」。あれから10年――。誰よりも説得力があった。

中田コーチが振り返った大谷の初回先頭打者弾(2016年7月3日)
中田コーチが振り返った大谷の初回先頭打者弾(2016年7月3日)