ベンチでは、若き捕手に〝無言の牽制〟も送った。ドジャースの大谷翔平投手(31)は20日(日本時間21日)、敵地ペトコ・パークでのパドレス戦に「1番・投手」で出場。初回先頭で今季8号を放つと、投げても5回3安打無失点、4奪三振で4勝目を挙げ、チームを4―0の勝利に導いた。ドジャースは31勝19敗でナ・リーグ西地区首位を守り、直接対決3連戦を2勝1敗で勝ち越した。

 米メディア「トータル・プロ・スポーツ」が試合後に注目したのは、圧巻のリアル二刀流とは別の一幕だった。ドジャース側の中継はスポーツネットLA、パドレス側はパドレスTV。9回一死、ダッグアウトのフェンス際で戦況を見守っていた大谷の背後から、ベンチ待機中のダルトン・ラッシング捕手(25)が新しいガムを口にしながら近づき、誤って肩付近に接触した。その一部始終がテレビカメラにもはっきりと収められていたことを、同メディアも報じている。

 大谷は一瞬、誰がぶつかったのかを確かめるように振り返った。相手がラッシングと分かると、目を細めて険しい表情を浮かべ、短く視線を送った。直後に自ら場所を変えて歩き出したが、その表情は〝しょうがないヤツだな〟とでも言いたげ。若いチームメートの粗さを受け止めつつ、軽くクギを刺したようにも映った。

 ラッシングは今季、強打の若手捕手として台頭する一方、敵軍との小競り合いでもたびたび名を上げてきた。4月22日(日本時間23日)にはジャイアンツのイ・ジョンフ外野手(27)が本塁で負傷した場面を巡る発言が物議を醸し、その後にローガン・ウェブ投手(29)から死球を受けた。

 翌4月23日(同24日)のジャイアンツ戦では、6回に二塁へ激しく滑り込み、遊撃のウィリー・アダメス内野手(30)と接触。併殺崩しを狙ったプレーを巡り、二塁手のルイス・アラエス内野手(29)が「いい野球ではない」と不快感を示した。さらに4月25日(同26日)のカブス戦では、ミゲル・アマヤ捕手(27)への侮辱的発言と受け取られる映像が拡散。14日(同15日)のジャイアンツ戦では3三振後にベンチでバットを折り、ヘルメットに打ち付ける姿もカメラに抜かれた。

 この日のラッシングは出場せず、ウィル・スミス捕手(31)が大谷とバッテリーを組んだ。だからこそ、ベンチでの接触は一層目立った。もっとも、もちろん大谷の反応に険悪さなど微塵もない。圧倒的な投球と先頭打者弾で試合を決めた背中には、若手を黙って引き締めるだけの説得力があった。